東京・世田谷の住宅地で100年近く続いてきた、至誠会第二病院。通ってくる地域住民の中には、3世代で通う家族も。しかし、逮捕された元理事長は実権を握っていた時代、徹底したコストカット経営に舵を切った。その影響で、人件費を抑え常勤医師は45人から27人へ。かつて多くの命を救ってきた集中治療室も、人員が足りず4年前に閉鎖し今は物置になっている。コストカット経営による医療サービスの低下は、悪循環を招いた。患者が減少し、病床稼働率は約30%に低下し赤字に転落した。一方で、病院経営のそもそもの難しさもある。今、全国の病院の7割近くが赤字。物価と人件費が高騰する中、診療報酬を国が定めていることが病院の経営難に拍車をかけている。