年収の壁によって人手不足に拍車をかけているという面もある。一方で壁を見直すと税収が減るとの指摘もある。政府の試算。103万円の壁を見直し所得税の控除額を178万円に引き上げた場合、政府は国と地方の税収が合わせて7兆円から8兆円減るとしている。アンケートでは、税負担について不公平感を訴える声も寄せられた。「年収が一定に届かないからと税金を払わないのは不公平と思う。税金は収入を得ている誰しもが払うべき」。そのほかにもさまざまな意見が寄せられている。「年収の壁を気にせず、扶養に入らず、パートでも精いっぱい働いてきた。これからもそれを続ける」。「現役世代がメインなことは理解できるが、全世代についての説明が必要と思う」。さらに男女の働き方に関する意見も寄せられた。「働き控えは年収の壁だけではない。理由はこれ以上働くと家事、育児など大変だから。男性の働き方、家事育児が必要なのに単純に捉えすぎ」。専門家(日本総合研究所・西沢和彦理事)はこう話す。「年収の壁はサラリーマンの夫と専業主婦の妻の世帯を想定したものでもはや時代遅れの仕組みだ」と指摘する。家計や働き方に直結するだけに議論はさまざまな角度から進めてほしいと思う。