内田さんはドル円予想レンジを144.30円~145.50円とし「昨日のアメリカの消費者物価指数を受け、少しドル安に戻ってきたんですが、ドルに続いて円も少し冴えないのできょうはドルは145円台回復もあり得るんじゃないかと予想している」と話した。また、注目ポイントには「ドル安の持続性とさえない円」と挙げ、「関税交渉を巡る不透明感からドル安が続いており、ドル指数は2020年度以降のレンジの高値からチャート上の節目である61.8%まで下落してきた。仮にここから全戻しに発展する場合、さらにドルが1割程度続落する計算となる。そこで重要となるのがドル指数を算出する上で約6割と最もウェイトが高いユーロの対ドル相場。仮に1.15を上抜けしてくる場合はマーケット全体でのドル安にも波及することから、当面関税交渉の行方や欧州株の動向を睨みながらユーロドルの1.15の攻防に注目する必要がある。ドル円ではドル安円高が進むとみられるが、必ずしもそれが円の全面高を意味することにはならないと考えている。年初来のドル円・クロス円を指数化して並べてみると、ドル円は確かに8%ほど下落=円高が進んでいるが、クロス円は若干上昇=円安に推移している。投機筋の円買いポジションが過去最高水準まで積み上がっている点に照らすと、全体として見た円のパフォーマンスはむしろ冴えないとみることができる。これらを踏まえると、年初来のドル円下落は主にドル安がドライバーであり円高ではないということと、仮にドル安が進む場合もクロス円が底堅く推移する可能性も十分にあるということが示唆される。実質金利で主要通貨を比べてみると、日本の場合は政策金利・長期金利ともに水準的に多通貨より低いし、マイナス圏にとどまっている事がわかる。これが円安に影響している可能性がある。今後の日本の実質金利を展望すると、日銀は利上げスタンスを崩してはいないが、関税の影響を見極めに時間を要すると思われるので、結構不透明。また、これまでの利上げが奏功してインフレが収束しつつある諸外国と比較すると、日本の今の”実質金利マイナス”というのはかなり金融緩和状態のため、インフレ率が高止まりする恐れもある。円の弱点が改善しない限り円高への転換は容易ではないと思う」などと話した。