三菱UFJ信託銀行の横田さんのドル円予想レンジは149.10~150.20円。横田さんは「パウエル議長の講演に注目。直近の米国の経済指標が強含むなか、他のFRB高官と同様に長期金利の急上昇により足元の金融環境が抑制的との見方が示された場合、年内の追加利上げ期待の剥落からドル安手動で上値の重い値動きになると予想」などと述べた。注目ポイントは「国内物価動向と中東リスク」。横田さんは「国内の物価動向をみると消費者物価指数は前年比3.2%と年初から横ばいだが非耐久剤は前年比で10%上昇しており、個人消費の伸び悩みが懸念される。一方で企業物価指数は足元で前年比2%まで増加しているが日銀短観の販売価格先行きDIは今後の値上げ継続を示唆している。企業側では物価上昇時の値上げにより収益改善を進めており、賃金上昇への波及と消費の回復が実現されれば日銀の政策修正の条件である、物価上昇と賃金上昇の好循環が満たされる。来年の春闘動向は日銀からの注目も高い。日本は国内の石油輸入の9割を中東に依存する。中東情勢の不安定化による原油価格の上昇は大きなリスク。これまでの企業物価指数の鈍化はエネルギー要因と為替要因の減少が主因。輸入物価の再上昇につながる懸念材料。企業収益悪化を通じて賃金上昇への波及を阻害する可能性がある。原油動向次第では物価対応と円安対応により来年の春闘を待たずに政策修正に追い込まれる可能性もある。今週日銀が23年度と24年度の物価見通しを上方修正するとの報道があり、あす公表のCPIが予想を上回れば円が強含む展開が想定される。今後の賃金動向を見極める必要性から、今月の日銀金融政策決定会合では現状政策が維持される公算が高く、ドル円の下押しは限定的」などと述べた。