東京大空襲の体験者の言葉に耳を傾ける映像編集者の早乙女愛さん。愛さんの父親は12歳で東京大空襲を経験した作家の早乙女勝元さん。小説・絵本などで空襲の悲惨さ・平和の大切さを訴え、「東京大空襲・戦災資料センター」開設にも携わるなど、3年前に亡くなるまで生涯にわたって空襲の記憶を伝えてきた。愛さんは戦跡をめぐる勝元さんの旅に同行していたが中学生のころに同行をやめた。その後大学生になって勝元さんとの旅を再開した。父とは別の方法で戦争を伝えたいと映像編集者の道に進み、戦争に関する映画や映像作品を制作してきた。15年前から取り組んできたのが東京大空襲の証言映像の製作。これまで30人余の証言を映像化し、学校や講演会で伝えてきた。先月中旬、3歳の時に東京大空襲で両親と妹を亡くした戦災孤児の吉田由美子さんの証言を聞いた。吉田さんに空襲の記憶はほとんどなく、自分を引き取ってくれた親戚は空襲のことを教えてくれなかったという。空襲から50年が経った時に1枚の写真を見つけた。空襲の翌年に叔母と映る自分の写真で、その後叔母から話を聞いたという親戚から、空襲の日に叔母が自分を連れて逃げ、両親に代わり面倒をみてくれたことを始めて知った。叔母とは写真を撮ったあとに離ればなれになりその後一度も再会することはなかった。早乙女愛さんは、当時の記憶のない体験者から話を聞く機会が増えたという。愛さんは、小さい時に戦争で両親を亡くされたりすると自分の立場を気付くのに時間がかなりかかる、それも含めての戦争体験なのでその苦難も紹介したいと話した。また、受け継いできた記録を落とさずにそのまま次に渡していく工夫が問われている、それを試行錯誤していると語った。