ある企業の交渉の現場に密着。約5万3000人の従業員を抱える大手スーパーでは、2月下旬に経営側と労働組合の賃金交渉が始まった。労働組合は来年度の物価上昇予想を上回る賃上げを要求した。去年もベアは実施されたが社員にとっては生活が楽になったと実感しづらい状況が続いていた。一方の経営側も組合から要求に積極的に応じる方針を示してきた。この数年、経営側は賃上げの原資確保に取り組んできたが、今回の要求は経営側の想定を上回るものだった。ここ数年の物流コスト上昇が大きな壁になっていた。そうした中で切り札と考えてきたのが生産性の向上。取り組みの成果を賃上げにつなげようとしていたが、その矢先にアメリカ・イスラエルがイランを攻撃。原油価格が急騰し、日本企業の間で先行きへの懸念が広がっている。組合からのベアの要求に対し経営側の回答は8000円。満額ではないが来年度の物価上昇率の見込みを上回る水準を提示、定期昇給など込みで1万5000円相当の賃上げとなった。
