- 出演者
- 桑子真帆 河野龍太郎 松本正義
あす集中回答日を迎える春闘。経済界も積極的な賃上げに意欲を見せている。しかし、イラン情勢の悪化で日本経済の先行きに不透明感が。賃金はどうなるのか、交渉の現場から考える。
オープニング映像。
ある企業の交渉の現場に密着。約5万3000人の従業員を抱える大手スーパーでは、2月下旬に経営側と労働組合の賃金交渉が始まった。労働組合は来年度の物価上昇予想を上回る賃上げを要求した。去年もベアは実施されたが社員にとっては生活が楽になったと実感しづらい状況が続いていた。一方の経営側も組合から要求に積極的に応じる方針を示してきた。この数年、経営側は賃上げの原資確保に取り組んできたが、今回の要求は経営側の想定を上回るものだった。ここ数年の物流コスト上昇が大きな壁になっていた。そうした中で切り札と考えてきたのが生産性の向上。取り組みの成果を賃上げにつなげようとしていたが、その矢先にアメリカ・イスラエルがイランを攻撃。原油価格が急騰し、日本企業の間で先行きへの懸念が広がっている。組合からのベアの要求に対し経営側の回答は8000円。満額ではないが来年度の物価上昇率の見込みを上回る水準を提示、定期昇給など込みで1万5000円相当の賃上げとなった。
2021年以降、名目賃金では毎年伸びているが物価変動を考慮した実質賃金ではほぼマイナスの状況が続いてきた。それが今年1月の速報値で13か月ぶりにプラスに転じたが、そこで中東情勢の緊迫化が起きた。河野龍太郎氏は「あすから発表される大企業の賃上げ率は平均5%程で高め。ただ、中東危機で先行きにリスクが出てきている」と話した。実感を伴う賃上げがなぜ実現できていないのは、企業の付加価値分配の仕方に課題があると指摘されている。日本は生産性自体は伸びているが実質賃金が伸びていない。河野氏は「分配が増えているのは株主。日本では株主と従業員が利益を分配する考えが失われてしまっている」と話した。
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- ミルトン・フリードマン関西経済連合会
今月、経団連の筒井会長は強い表現で分配の問題意識を語った。そうした中、分配の見直しに取り組み始めている企業がある。パイプ製造・販売を行う大手企業では約2500人が働いている。4年前に最終利益が過去最高を記録し、それ以降一定程度の賃上げを続けてきた。しかし経営陣は従業員に対して業績に見合った還元が十分にできていないと考えていた。分配の割合をみると、ここ数年株主に対しては上昇を続けているのに対し、従業員に対してはほぼ横ばい。しかし賃金は一度上げると下げづらくなり業績の変化に対応するのが難しくなる。そこで福利厚生の一つとして導入したのが、自社株を従業員に付与する制度。従業員が会社の成長を実感することで働く意欲にもつなげようという狙い。人への投資が長期的に会社の成長につながると投資家にも丁寧に説明し理解を得た。
従業員への株式の付与について河野龍太郎氏は「これだけだと正規雇用の枠外にいる人にメリットがない。ただ、過去30年基準となる正規雇用の賃金が上がらなかったので非正規の賃金も上がらなかった。大企業が付加価値分配で正社員の賃金を上げるのは大事なこと」と話した。中小企業での賃上げでも大企業からの分配が鍵になる。
半導体や自動車部品を生産する樹脂加工メーカーは3年連続で約5%の賃上げを実現している。取引先の大企業に対し原材料費や人件費の上昇分を商品価格に上乗せする交渉をしてきた。交渉ツールの1つが独自に作ったバブルチャート。かかった時間と人員に対してどれくらい儲けがでているかを見える化し、客観的なデータをもとに適正価格を取引先に交渉してきた。この方法を知りたいという声を受け、地元企業で勉強会も開いている。
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中小企業が賃上げ実施をしない理由で最も多いのが「コスト増加分を十分に価格転嫁できていない」ということ。松本正義氏は公益資本主義について話した。河野氏は賃上げの原資は分配からだとした。
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