- 出演者
- 桑子真帆 佐伯潤
名古屋では市が対策チームを立ち上げてペット問題の対応にあたっている。専門の職員が飼育困難に陥った飼い主とそのペットの支援を行っている。寄せられる相談は年間1200件。中でも多いのが高齢者が飼うペットの引き取り手探し。飼い主募集をかけているペットの数は常時200件を超えるという。取材で見えてきたのは介護・医療の現場が疲弊している実態だった。
ペットを飼うメリットとしては、認知症リスクが犬を飼育している人では40%低下、介護保険サービス利用費はペットを飼育している人では半額以下という調査結果が出ている。しかし、高齢者がペットを飼う上ではさまざまな問題が出ていて、その対応にあたっているのが医療・介護従事者など。
17年飼ってきた猫を手放したいという男性。肺気腫を患い、ケアマネジャーと相談の上、飼い続けるのを諦めたという。男性が頼ったのは地元・名古屋市の動物愛護センター。行き場を失った動物を収容する公的機関。しかし、そこでは「まずは自ら引き取り手を探してほしい」と告げられたという。男性は親族や各地の団体にあたったが条件の合う引取先が見つからないまま4か月が経っていた。そうした背景には動物の殺処分をめぐる大きな変化がある。殺処分ゼロを達成するために、飼い主からの引き取りはより慎重に必要性を見極めているという。
動物を飼うことに年齢制限を設ける声もあがっている。国の動物愛護行政の検討委員も務める佐伯潤さんは「一律にはめるのは簡単な方法ではあるが、同じ65歳といっても健康状態などがまちまち。一方ではお金や時間の余裕があって動物にじゅうぶん行き届いた世話ができるという部分があると思うので、 一律に制限をするというのは少し抵抗感を感じる」などと話した。
岐阜の在宅医療クリニックで開かれたオンライン会議。医療者とペットや飼い主の支援を行うNPOが集まった。会議では連携のあり方を話し合った。会議を呼びかけた在宅医療医が連携の必要性を感じたきっかけは、去年亡くなった患者の犬を引き取った経験から。認知症が進んだ飼い主が亡くなったとき、放置された犬の行き先は何も決まっていなかった。在宅医療医は「持続可能な方法ではない」と考え葛藤を持ちながら引き取りをした。在宅医療医はもしもの事態に備えて患者への聞き取りを始めている。東京・港区では動物政策監と呼ばれる区の獣医師が飼い主や福祉担当者からのペットに関する相談を受け訪問するという支援を始めた。
フランスは健やかに老いるための法律(2025年施行)で介護施設でのペット同伴を法的に認めた。一方、オーストラリアは在宅介護ケアの制度改正(2025年)でペットの世話が国の負担の対象外となった。
