大企業に二酸化炭素を排出できる枠を設定して、収まらなければ売買を義務付ける排出量取引制度が4月からスタートする。削減コストが安いところで多く減らせる社会全体の脱炭素費用を減らせるメリットがある。脱炭素に積極的な企業は利益を得ることもできる。排出量取引の導入は37の国と地域など世界的に広がっている。対象となる300~400社で、日本全体の排出量の6割近くを占める。企業が直接出す二酸化炭素のみが対象。国が排出枠を年々減らすことで脱炭素を進める。初年度の枠は業種ごとの平均的な排出が基準で、平均的な取り組みをする企業なら自然に達成できる。今後の削減基準は1年につき上限1.7%。これは日本全体の二酸化炭素減少よりゆるいペースになる。そのため、経済産業省は経済成長と両立できるとし、経済活動や物価・くらしに大きな影響は考えにくいとしている。脱炭素への実効性には疑問もあり、そもそも導入は長年産業界から強い反対があって進んでこなかったことから、産業界が受け入れられる水準でまず導入を優先したとみられる。早稲田大学・有村俊秀教授は、現時点で削減目標と整合性はないが排出抑制に一定の効果があるとして、2050年の目標に合うものにできるか今後の制度の育て方が問われると指摘する。
