大都市札幌で灯油配達車と合流し、朝9時から撮影開始。早速1軒目へ。配達員はトラックからホースを伸ばし、家の中へ入る。台所の脇の灯油タンクに給油した。タンクは1カ月持たないという。給油を終えるとすぐに次の配達先、個人経営の美容室へ。今回のタンクは屋外に設置されている。北海道ではこうして自宅まで配達してもらうのが一般的。次に向かったのは集合住宅。配達員はホースを体に巻き、少しずつ体から外しながら3回の部屋まで上がっていった。こうしないと途中で引っかかってしまうのだという。住人の女性は熊本出身で、結婚を機に北海道に移住して40年だという。足腰が弱くなってきたこともあり、配達には助かっているという。配達車は無線で本部から出動先の指示を受けている。この日は札幌市内だけで23台の配達車が出動していた。建設現場での資材の凍結を防ぐ暖房用や、雪を溶かす融雪槽など、住宅以外にも様々なところから注文が入る。雪が降り出した夕方、配達車は一軒家に住む男性を訪ねた。前はオール電化にしていたが、こちらの方が暖かいと灯油に切り替えたのだという。男性はかつて役者を目指して上京していたが、夢を叶えることなく地元に戻ってきたことなどを話してくれた。灯油を求める一軒一軒にそれぞれの暮らしがある。雪が強くなってきた夕方5時過ぎ、配達はすべて終了した。