撮影2日目。夜中に降った雪がトラックにも積もっていた。雪を落とす配達員に話しかけた。冬場、建設や土木などの仕事が減る北海道は、この時期だけ灯油配達員をする人も少なくないという。この日最初のお宅は一軒家。家の裏手にある灯油タンクへ向かうと、ちょうど住人の女性がタンク周りを除雪していた。かつては4人で過ごしていた家だが、数年前から一人暮らしをしているという。今は将棋にハマっているというが、指すことはなく観ること専門(観る将)だという。続いてのお宅へ。作業終了後、お客さんは配達員にドリンクやお菓子などの差し入れを手渡していた。お昼、とある男性配達員はコンビニに車を止め、カップラーメン2つにお湯を入れてもやしをトッピングしていた。男性は独立リーグの野球選手でもあり、野球のために節約しているという。配達員一人ひとりに雪道を走る事情がある。母国で家を買うために来日したウズベキスタン出身の男性や、カフェバーを経営する女性などもいた。緊急の指令を受け、野球選手の配達員は94歳の女性宅を訪れた。ホースを宅内に伸ばすのに苦労したが、女性は快く待ってくれた。若いころ務めていた洋服店で裁縫の腕を磨いたという女性は、今でも注文を個人で受け、一点ものを作り続けているという。