10万人が犠牲になった東京大空襲からきょうで80年。太平洋戦争末期の1945年3月10日、アメリカ軍のB29爆撃機が東京の下町を中心に、1600トン以上の焼い弾を投下した東京大空襲では、10万人が亡くなったほか、100万人がなんらかの被害を受けたとされている。空襲の経験者は高齢になり、東京大空襲を伝える作品を多く残した作家の早乙女勝元が3年前に亡くなるなど、悲惨な経験を次の世代に語れる当事者は年を追うごとに少なくなっている。今になっても被害を示す新たな資料が見つかったり、経験者に代わって語り継ぐ継承者の育成が広がったりしていて、首都が襲われた被害の記憶を伝える取り組みが一層求められている。3歳のときに東京大空襲に遭い、孤児となった全国空襲被害者連絡協議会の吉田由美子共同代表は「焼け残った建物の壁を見れば、すさまじい火の勢いだったことが伝わる。どうか次の世代に戦争の悲惨さや、平和の尊さが引き継がれていってほしい」と話した。