擁壁を調査してほしいと全国から依頼が殺到している民間会社に同行した。この日の現場は西日本にある高さ3mの擁壁で、40年前に設置されたという。擁壁の維持管理は所有者が担うとされており、被害が出た場合は責任は所有者が負うことになる。調査の結果、簡易的な補修でも400万円程度はかかる見積もりが示された。擁壁の所有者の中にはより深刻な被害を懸念する人もいる。調査を依頼した女性は近くに公園があることから、擁壁の前を通る子どもたちに被害が及ぶことを懸念していた。日本で擁壁が多く作られたのは1950~70年代にかけての高度経済成長期。全国で住宅の需要が高まり、山や傾斜地を切り崩して宅地造成が進められる中、擁壁は土地を効率的に活用出来る方法として広く普及した。公園近くにある女性の自宅が建てられたのも1970年代だった。この場所は元々あった山林を切り開いた上でコンクリートの擁壁で覆い、その上に家が建てられたという。平地が少ない日本で当時不可欠だった擁壁が今、一気に耐用年数を迎えている。少なくとも数百万円かかる見積もりを受け取った女性は、家族と対応を検討することにした。
この問題に長年警鐘を鳴らしてきた東京理科大学の高橋治教授は、高度経済成長期の宅地に関するデータを元に、全国の老朽化した擁壁の数を推計したところ、少なくとも100万~200万箇所に上る結果が出たという。関西を中心に擁壁に関するアドバイスを行っている太田英将さんは、擁壁の所有者の側ではなく近隣住民からの相談が増えているという。
この問題に長年警鐘を鳴らしてきた東京理科大学の高橋治教授は、高度経済成長期の宅地に関するデータを元に、全国の老朽化した擁壁の数を推計したところ、少なくとも100万~200万箇所に上る結果が出たという。関西を中心に擁壁に関するアドバイスを行っている太田英将さんは、擁壁の所有者の側ではなく近隣住民からの相談が増えているという。
