東京藝術大学で漆芸を学んだ丸山さんは年賀状のデザインのため山梨県を訪れた。代表作は写真を撮った日本の城シリーズ。硬派なデザインは切手ファンに根強い人気がある。山田さんの切手の試し刷りが印刷会社から届いた。想定ほど鮮やかさが出ていない。発行予定枚数は4500万枚。締切が迫る中、どの程度の修正をすべきか判断を迫られた。チームリーダーの玉木さんが郵便局に持参したのは自身がデザインした新作。この日が発行日、いつも自分で買うことにしている。自作の台紙に貼り、発行初日だけに用いられる特別な印を押してもらう。切手をデザインする人は切手を愛する人だった。今月、山田さんの切手が発行された。小さな枠の中にひたむきな仕事が咲き誇っていた。