人の心の善と悪を擬人化した「心学早染草」。題名には「心学の教えに早く染まる」という意味が込められており、山東京伝は「理屈くさいことを一つの趣向とした」と序文に記している。この作品の元となったのが、京都で生まれた石門心学。石田梅岩が庶民たちに説いた正直・勤勉・質素・倹約を柱とする道徳の教えは、後に門弟によって江戸で学問へと発展。武士の間でも大流行となった。梅岩の故郷・京都府亀岡市の生家の隣には石田梅岩記念館があり、その教えは大切に受け継がれている。理屈くさい学問を皮肉り笑いに変えた「心学早染草」は、当時の世相を表したものだった。
住所: 東京都港区南麻布5-7-13
URL: http://www.library.metro.tokyo.jp/12/
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