都内の病院で子どもと楽しく遊ぶラブラドルレトリバーは、東京初のファシリティドッグとして2019年から働いている。病院などで子どもたちと触れ合ったり散歩をしたり、病と闘う日々を励まし寄り添い、治療への不安や怖さを和らげるのが、ファシリティドッグの仕事。時には手術室まで付き添うことも。今回密着させてもらったのが、7歳のアイビー。2017年に米国で生まれ、幼い頃からファシリティドッグの育成施設でトレーニングを積んできた。大橋真友子さんは、アイビーと共に暮らし、ハンドラーとして5年前から仕事を共にするパートナー。ハンドラーとは、犬とペアを組むための研修を受けた臨床経験のある医療従事者のこと。16年の看護師経験を持つ大橋さんとアイビーは、毎日入院している子どもたちの病室を回る。病室に入るまでに感染症を防ぐため必ず清拭。ファシリティドッグのアイビーは、100種類の合図を覚えており、病院内のあらゆる場面で大橋さんから細かく指示が出されている。アイビーは子どもたちの合図にも反応。日常のコミュニケーションの積み重ねで、関係性を築いていくという。アイビーの役割は、ただ触れ合うことだけではない。6歳のゆまちゃん、病気の影響で体が上手に動かせず、普段からリハビリが欠かせない。アイビーと遊ぶことが動かしづらい指の関節などのリハビリにもなっている。ファシリティドッグは、不安な入院生活での心の支えでもある。免疫力が低下して直接触れ合えない子どもには、ガラス越しに笑顔を届ける。ファシリティドッグの試みが始まったのは、2000年ごろの米国。子犬のときに厳しい基準で選ばれ、病院の臭いや音などの環境に適応し、常に落ち着いて行動できるよう専門的なトレーニングを重ね審査をクリアし、初めて活動することができる。