長崎市で手作りの紙芝居を使って原爆の体験を伝え続けている三田村静子さん(83)。1945年8月9日、広島に続いて長崎に落とされた原子爆弾によって被爆した。三田村さんの自宅は爆心地から約5km離れ、大きなケガなどはなかったが、大人になってから4回がんを患った。また、姉や戦後に生まれた姪や娘までもが放射線の影響と思われる病気で亡くなった。体調に不安を抱えながらガイドなどの平和活動を続けてきた。始めたのが紙芝居を使った語り部。紙芝居は原爆を生き延びた子どもたちの作文を基に三田村さんが作成。そんな三田村さんに心強い後継者が生まれた。東京の小学5年生・細井奏志さん(11)。2年前、家族で長崎原爆資料館を訪れた。その際に案内したのが三田村さん。戦争を知る世代が減っていく中、細井さんは何とかしたいという思いを持ったという。細井さんは三田村さんの体験を引き継ぎたいと話す内容や話し方の研修など、約1年の準備期間を経て、去年12月に史上最年少の交流証言者となった。「もっと原爆の愚かさや悲惨さをたくさんの人に伝えたい」と話した。イラストは細井さんの姉・彩夏惠さんが担当。「絵を描くことで役立てるなら全力で手伝いたい」と話した。戦後80年、被爆者の平均年齢は86歳超。三田村さんは細井さんのような若い世代に期待を寄せている。「いまの時代の子供たちがしっかりと引き受けてくれたら日本は絶対に戦争はないと思います」と話した。