科学文化部原発担当の吉田記者と伝える。廃炉における試験的取り出し完了の意味合い、どう受け止めたらいいだろうか。廃炉の本丸とも言える核燃料デブリの取り出し、これに向けてようやく最初の手がかりを得たということになる。その意味では廃炉は新たな段階に入ったと言える。将来的には核燃料デブリが1号機から3号機までおよそ880トンありるがこれを取り出していくことになっている。ただ現状ではこの核燃料デブリも硬さ、成分といった基本的な情報も分かっていない状況。今回、それを知るためのスタートラインに立ったということが言える。ただ今回、取り出したのは僅か数グラムのデブリ1粒。デブリは1号機から3号機のそれぞれで溶け落ちた状態も異なっており、また今回取り出した2号機の中でも場所によっては性質、状態というのは変わってくると考えられている。そうした中で十分な情報を得ていくためにはこうした試験的取り出しを今後繰り返し行うなどしていくことが求められると思う。本格的に取り出す方法などを探るにはまだ情報が必要。廃炉だが、最長40年とも言われる中で今後、予定される作業や見通しはどうだろうか。まず政府と東京電力は当初核燃料デブリの取り出しの着手を2021年までに行うとしていたが、すでに3年遅れている。また2030年代初頭までには核燃料デブリの本格的な取り出しを始めるとしているが、現状では東京電力がその方法を検討している段階でまだ着手できるという見通しは立っていない。さらに核燃料デブリを取り出せたとしても将来的にはこのデブリを含む膨大な廃棄物の処分という課題が出てくる。これについてはまだ検討や議論の枠組みすら見えていないのが現状。こうした状況で現場に詳しい専門家に取材をしていると、ほとんどが2051年までの廃炉の完了は厳しいと見ているのが現状。ただ政府と東京電力は最長40年という廃炉の完了までの工程表を示した事実はやはり重い。地元の福島では地域の復興と福島第一原発の廃炉というのは常に車の両輪というふうに言われてきた。40年での廃炉というのは福島にとっての約束でもある。13年半でようやく進めた一歩をこの先の着実な廃炉につなげていけるかが問われている。