AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の閣僚会議がインドネシアで開かれ、日本が強みを持つ脱炭素技術を通じて、アジア各国との新たな連携が発表された。ベトナムにあるタンロン工業団地。工場の屋根の上には太陽光パネルが張り巡らされ、再生可能エネルギーの導入が進んでいる。ベトナムでは国のエネルギー消費量の80%が石炭などの化石燃料によるもの。温室効果ガスの排出量もASEANで2番目に多いため、脱炭素社会への転換を急ピッチで進めている。そこで住友商事は温室効果ガスの排出が多い工業団地を丸ごと脱炭素化することを計画。ベトナム側ときょう覚書を交わしたと発表した。最大500億円を投じて、太陽光や木屑などを利用したバイオマス発電を工業団地に導入し、消費電力を再生可能エネルギーに置き換えていくという。また、首都ハノイには総事業費5000億円のスマートシティを建設し、再生可能エネルギーで電力を自給する街づくりを目指すとしている。AZECの閣僚会議にあわせて開かれた経済イベントには、日本のスタートアップも。温室効果ガスの排出量を算定し、見える化するシステムを開発するゼロボードは今回、インドネシアの工業団地に入居する企業に対しサービス提供などを行う覚書を交わした。実はヨーロッパを中心に製品の製造過程で発生した温室効果ガスの量を報告させるルールが始まっていて、温室効果ガスを測れる技術へのニーズが急増しているという。AZEC閣僚会合では、日本と東南アジア諸国が電力・運輸・産業の3分野で政策協調を進めることで合意。日本が脱炭素技術の導入支援や導入に向けた法整備を後押ししていくという。