今年は宮沢賢治生誕130年にあたる。花巻市に住む男性は、賢治に魅せられ、その作品に出てくる風景を探しておよそ50年絵を描き続けてきた。スケッチでめぐる賢治の旅と題された企画展。賢治が訪ねた各地の風景がぬくもり溢れる色彩で描かれている。このスケッチを描いたのは、滝田恒男さん85歳。滝田さんは花巻市にある自宅の一角に小さな画廊を作って、作品を展示している。賢治が残した詩や物語の言葉から、およそ50年間舞台となった風景を探し歩き、絵で表現してきた。「風の又三郎」の舞台とされる種山ヶ原。賢治が名付け多くの作品に登場するイギリス海岸。これまで描いた作品は、1200点を越える。幼い頃から絵を描くのが好きだったという滝田さん。賢治ゆかりの風景を描き始めたきっかけは、賢治の童話に登場した「天道」という地名。「山男の四月」という童話の中に、「天道は飴をうんとこさえているが、なかなかおれにはくれない」というくだりがある。天道というのは、滝田さんが育てられた地名。頭に浮かんだのは、天道にある母の実家が飴屋を営んでいたことだった。「母の実家のことだ」と思った滝田さん。滝田さんと賢治の世界がつながった瞬間だった。それから作品を読み進め、すっかり賢治の虜になっていった滝田さん。自分だけのアトリエも賢治の世界を表現したという。セロ弾きのゴーシュが好きで、ゴーシュが水車小屋でしてたから、自分もマネをして作ってみたという。ゴーシュの水車小屋をイメージして、40年ほど前、9か月かけてアトリエを手作りしたそう。生きる喜びを与えてくれたという賢治の存在。賢治も見た風景を大好きな絵で残していきたい。賢治はみんなにいろんな夢を与えてくれた人、私もその1人と滝田さんは話す。
