今年、戦後80年を迎えるが、平和を願って広島で生まれたエスキーテニスというスポーツがある。スポーツを通して平和を学ぶ姿を取材した。東広島市立龍王小学校で77年前に広島で生まれたエスキーテニスの体験授業が行われた。ルールは卓球とほぼ同じ。日本エスキーテニス連盟・東城瑞穂さんの分かりやすい指導のもと、子どもたちはメキメキ上達。エスキーテニスでは同じプレーヤーが2回連続ノーバウンドでボールを打ってはならない。エスキーテニス考案者のひ孫・宇野本翼さんは「何回も同じ人が打っていたらゲームとして面白くない。ラリーが続くのが面白いし、このルールを使っていろんな戦術が生まれる」と話した。エスキーテニスの授業は体験学習と平和学習のセットで行われる。翼さんの曽祖父・信さんは実業家として活躍する一方、120以上の特許権を持つ発明家としても知られていた。信さんは13歳だった娘を原爆症で失った。平和学習では信さんがしたためていた手記を小学校の先生たちが朗読した。娘の死から程なくして県から「原爆で廃墟になった広島の子どもたちに楽しみを与えるスポーツを作ってほしい」との依頼を受け、1948年にエスキーテニスが考案された。1949年、当時皇太子だった上皇さまが広島を訪れた際に「エスキーテニス」を体験された。広島市のシンボル・平和大通りに専用コートが設置され、広島に本社を置く自動車メーカー・マツダにも工場内に100面以上のコートがあった。4代目の翼さんは自分の使命を“原点回帰“と話す。