年間、延べ12億人ほどの乗客が利用し首都の大動脈ともいわれる山手線。JR東日本はこの山手線をはじめとした路線の初乗り運賃を引き上げることを検討している。対象は普通運賃や定期券で現在150円の初乗り運賃が160円となる見通し。再来年の2026年3月に実施する方向で国に申請を行う方針。首都圏の私鉄では、去年、東急電鉄と京急電鉄が初乗り運賃を10円ほど値上げしている。また、関西の私鉄大手、京阪電鉄も来年10月からの運賃値上げを申請済み。JR東日本は去年3月、駅のバリアフリー化を進めるため、首都圏の一部で値上げしているが、今回のような全面的な値上げは消費税導入時を除いてJRとなった1987年以来、初めてとなる。値上げの背景について、専門家は少子高齢化による利用者の減少と定期券の割引率があると指摘する。旧国鉄時代から利用者の多い路線の運賃や定期代の割引率を高く設定してきていたというJR。定期券利用者の増加で売り上げが減少しているため今後、割引率を下げる可能性があるほか値上げの波はJR各社に及ぶと考えられるという。JR東日本は今回の値上げによる増収分を安全対策や設備維持などに充てる方針。