カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラの企業の対策の課題について紹介。先月、JR東日本は初めてとなる対処方針を策定した。具体的には正当な理由のない金銭補償の要求や過剰なサービスの要求などの行為をカスハラとしてこうした行為が確認された場合、サービスの休止などの対応を取るとしている。そして今、取り組もうとしているのが現場の社員が利用できる対応マニュアルの作成。会社によると乗務員や駅員などに対するカスハラは多いときで月に30件ほど報告されている。例えば乗務員がグリーン車のチケットを持っていない客に普通車へ移動するよう求めるとその客が乗務員室まで追いかけてきてドアを蹴ってしまったケースがあった。それから駅係員が切符を持っていない客に切符を購入するよう求めたところ名刺を出せなどと大声を出し肩を押してきたケースがあったという。こうしたケースは分かりやすいが、カスハラはグレーゾーンが大きく、線引きが難しいためどこまでがカスハラなのか判断がつきにくいケースが多いという。今回取材したJR東日本では列車が遅れたケースで会社側にも原因の一端があって、乗客がクレームを言ってきた場合、それをカスハラと判断するか迷うこともあると話していた。カスハラ問題に詳しい専門家はその判断が難しいからこそマニュアルを作成する意義があると指摘している。自治体や航空業界など民間でもマニュアル作成の動きが見られるなどカスハラ対策の動きは広がりつつある。人手不足が課題となる中、こうした取り組みで一人一人が働きやすい職場が整備されることを期待したい。