- 出演者
- 松下奈緒
オープニング映像。
大阪北区の阪急梅田本店で売られていたのはシャツやネクタイ。どれも斬新な柄のものばかり。さらに絵画も売られていたが個性的な作品が並んでいた。一見、街角にあるような落書きにみえるが、色彩豊かな絵画を購入した男性。その値段は38万5000円でこれらの絵は障害のある人が描いた絵。この日は作家も登場し創作活動をお披露目していた。川邊紘子さんの作品は人が幾重にも重なり不思議な迫力に。岩瀬俊一さんの作品は一つ一つの線を細く丁寧に描くことにこだわっている。その絵画はすでに売約済み。今回のイベントの主催はヘラルボニー。その共同代表は松田崇弥さん。ヘラルボニーは障害のある作家と契約を結び原画や商品を販売している。会場には、同じく共同代表の松田さんの兄が。双子の兄弟が始めたアートビジネスで今や世界共通の目標となったSDGs。障害のある人の可能性を広げ、共に未来を切り開こうとするその挑戦をおった。
岩手県盛岡市にヘラルボニーの本社がある。双子の兄弟が2018年に共同でたちあげた会社で、東京にも拠点があり、従業員は59人。時代の波にも乗り成長を続けている。本社に併設されたギャラリーには知的障害のある作家の作品があり、定期的に入れ替わる。241人の作家と契約し、作品自体の販売を手掛ける他、2000点以上のデータを管理し、デザインとして有償で提供している。東京・品川区に双子の兄の文登さんが訪ねたのは大手カメラメーカーのニコン。用意されていたのは発売するカメラで、その新作カメラのボディデザインはすべてヘラルボニーの契約作家のものでどれも特徴的。数年前から共同で開発を進めてきたもので、サプライズで液晶の起動画面をヘラルボニー仕様にしてくれていた。大企業とのコラボはヘラルボニーの柱となっている。船橋市のLaLa arena TOKYO-BAYでは1万人を収容する多目的施設。館内にはその巨大なアートが設置されているがSDGsの時代に大企業の積極的な取り組みも追い風になっている。
羽田空港にやってきた兄の文登さん。JALの施設にやってきたが製作中のグッズについて話し合っていたが、機内アメニティーグッズや機内食の紙の帯にヘラルボニーの作家とコラボしたデザインの絵が採用された。今回は新たなプランの打ち合わせをしていたがそれが機内で使用される紙コップでそのデザインとなる原画がベースなった。そのJALのプロジェクトリーダーの松本さんは一人一人ありのまま輝けそのままを肯定できる社会を目指すことを掲げているという。その思いに応えようと文登さんが動いた。滋賀県にある福祉施設のやまなみ工房にこの日JALのチームを招待したが多くの入所者が出迎えた。その工房を案内したがそこには思い思いに作品に向き合う障害のある人の日常が。水上さんはJALの紙コップのデザインの原画を描いたがその特徴はアルミの棒を使って描く点。同じ位置に何色も塗り重ねるが一日何十枚も描き続けている。やまなみ工房では障害のある人95人が創作活動をしている。岡元俊雄さんはいつも寝そべりながら絵を描いている。拾ってきた木の枝でキャンバスに描き、モノクロの力強い作品は、ファンも多い。山際さんが作るのはオリジナルのお地蔵さんを作る。自分を励ましながら作った数は10万体以上。
9月10日のJALの施設。前回打ち合わせをした紙コップが完成したという。期間限定でJALの全路線で使われる紙コップは水上さんデザインのもので紙コップのQRコードから水上さんの紹介動画が見られるようにもなっている。
そして岩手県にはもう一つ、松田さん兄弟がヘラルボニーをたち上げた原点がある。2人の兄の翔太さんは、重い自閉症を持っている。幼い頃から仲良く育った三兄弟だが成長するにつれて双子の兄弟は少しずつ周囲の人々に違和感を覚えていった。中学生の頃に友人たちのへ言動から偏見を感じるようになっていったが、そのことで学生時代は数年間兄とは話さないこともあったという。しかし大人になるにつれ自然と兄のような人たちを関わるような仕事がしたい思うようになっていった。兄の翔太さんが学生時代にノートに書いていた文字の中にヘラルボニーという言葉がありそこから松田さんたちはヘラルボニーという会社名にした。
番組はTVerで配信。
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5月下旬にフランス・パリにやってきたがヘラルボニーは新たな挑戦をしていた。VIVA TECHNOLOGY 2024は世界中からスタートアップ企業が集まる見本市。それぞれが技術をアピールしている。その一角にヘラルボニーの商品を展示したが、自分たちが目指すものを海外担当の小林恵さんが伝える。このイベントの最大の目玉はモエヘネシー・ルイヴィトンが主催するイノベーションアワード。これを受賞すると世界最大の高級ブランドグループからオフィスの提供などの様々なサポートが受けられる。世界中のスタートアップ企業にとってそれは大きなチャンス。受賞できるのは6社。今年は応募は89カ国から1545社がエントリー。ヘラルボニーもその一つ。岩手県の本社では文登さんと兄の翔太さんがそのイベントの発表を日本から見守っていた。その結果、ヘラルボニーは受賞を叶えた。受賞から半月、双子の弟の崇弥さんがパリへ。やってきたのフランスに本社を置く世界的な保険会社のアクサ。崇弥さんは日本で始めたビジネスモデルの説明をした。今や事業の柱までになった企業とのコラボは、これを世界進出の足がかりにしようとしていた。
次に向かったのはイギリス・ロンドン。どうしても行きたい場所があったというが、福祉施設では障害のある人々がアート作品を描く。東京・千代田区にいた崇弥さんは、早速商品作りへ。目標は2ヶ月後に開かれる世界的イベントに向けての出品準備。人気のスカーフを海外向けに生地から作り直しパリのファッションウィークにあわせて打って出ようという。しかし時間がなく、早速管理するデータの中からヨーロッパでも人気になりそうなデザインを新たに選びなおす。通常半年はかかる製作工程ではパリファッションウィークまであと2ヶ月となった。
愛媛県松山市にいた崇弥さん。どうしてもタッグを組みたい相手がいた。訪ねたのはユナイテッドシルクという会社。絹織物やシルク成分の入った化粧品他食品などを製造販売している。社長の河合崇さんは日本のシルクの可能性を追及している。ユナイテッドシルクもVIVA TECHNOLOGY 2024に出展したが同じ志を持つ仲間として今回協力をあおいだが河合さんも今回快く引き受けてくれた。蚕を育てている工場に向かったがここにはタッグを組む理由がある。糸を生み出す蚕を育てる仕事を担当しているのは山本かおりさん。軽度の知的障害を持っているというが、ここで働くひとの多くは障害がある。河合社長もまた身内に障害のある人がいるという。
パリで行われるファッションウィークにむけてスカーフ作りをしている2つの会社。託されたのはユナイテッドシルクの清谷さん。秋田にある印刷の工場にやってきた清谷さんは愛媛からシルクの生地を持ち込んでいた。そこで印刷を行い、10種のデザインを選んだ。8月下旬に愛媛でヘラルボニーとユナイテッドシルク集まって出来上がったスカーフのお披露目が行われた。この仕上がりを一緒に感じてもらいたい人がいるという。工場で蚕を育てている山本さん。スカーフの出来に大満足の様子だった。その思いを受けパリに乗り込む。
9月12日に渋谷パルコにヘラルボニーの期間限定の店舗をオープン。パリにむけて作ったスカーフを販売し日本で反応をみることにした。その頃、フランス・パリではファッションウィークを前にスカーフを披露。弟の崇弥さんはヘラルボニーと聞いて皆が幸せな気持ちになったり大切なことがカジュアルに楽しく伝わるような存在になれたらいいと答えた。
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