海外投資家による日本株の売買動向をみると、トランプ関税が発表されてから13週連続で買い越しとなっていて、アベノミクスに期待が集まった2013年以来の長さとなっている。今後も海外マネーの流入は続くのか、日本株の動向を35年以上分析しているというアメリカの投資家に聞いた。資産運用会社ヌビーンで世界株のファンドを運用するピーター・ボードマン氏は、日本株に今後も資金が流入するとの見方には懐疑的。ボードマン氏は「自動車は関税懸念で手が出しづらく、ハイテクも値動きが安定しない。またこれまで中国から日本へ流入していた投資マネーが中国経済の回復に伴い逆に流出する現象も起きている。アメリカのハイテク株も依然堅調なので、海外勢の日本株投資が今後も増えるとは言い難い」などと語った。米中で関税懸念が後退する中、世界の機関投資家の多くは日本株の配分比率を低くしているという。このような中、日本の株式相場の推移についてボードマン氏は「今年は自社株買いがピークに達し、景気が減速しても相場は持ちこたえるだろう。グローバルなリスク分散という観点では、日本株は安全で魅力的に見える」などと語った。ボードマン氏は今後TOPIXが緩やかに上昇し、年度末までに最大3000をつける可能性があると予想。牽引するのは金融セクターだとみている。「銀行株はROE(自己資本利益率)の観点で割安。また政策金利が来年1%に引き上げられれば、銀行株はROEが10%超に改善する可能性もある。さらには地方銀行の再編や、日本の投資家が新たな金融商品や新しい投資の形に乗り出していることも追い風だ」などと指摘した。
