梅津秀基さんは、約30年にわたり全国各地の文化財の保存・修理を手掛け、道後温泉本館では建物の調査から工事方法の決定まで中心的な役割を担ってきた。今回の作業には温泉作業ならではの難しさがあったという。工事で変わったのは、まずは屋根の色。工事前は、銅板葺きの屋根は酸化が進み緑青に変化し一部では腐敗も進んでいた。すべての屋根をはがして約8000枚の銅板を葺き替えたほか、防水シートも設置した。銅板本来の色へ再生し防水性も向上した。又新殿は豪華な造りが特徴だったが欠損しているところなどがあり、ふすまや引手金具は京都に運ばれ専門の職人が当時の技法を再現しながら修復を施した。大規模な保存修理工事開始から5年、梅津さんは130年の歴史に誇る道後温泉本館を次の世代に引き継ぎたいという思いで工事に取り組んできた。道後温泉本館はことし7月に全館で営業再開し、12月には工事が完了する予定だという。