東京・板橋区の公立中学校。お昼前に中学3年の生徒が遅れて登校。向かったのはStep By Stepと呼ばれる一室。教室に入れない・入りづらくなった生徒が通っている。この部屋に時間割はなく、生徒たちは思い思いに過ごす。子どもたちに寄り添うのは教員・スクールカウンセラー・保護者など。中学1年の途中で転校してきた生徒は学校に馴染めず教室に通えなくなった。半年後、学校に勧められて訪れたのがSBSルーム。そこで出会ったのは自分と同じ学校生活に悩みを抱えた友達。生徒は今では給食や学活などクラスメイトと過ごす時間も増えてきた。生徒は「SBSルームを経由して学校に通っている自信をつけられるのかな。教室に顔を出す頻度も増えてきたので自分がどんな感じの人なのか分かってもらえたのはある。それで話しやすくなったのかな」と話した。この日、進学相談で学校にやって来たのは生徒の父親。息子の変化に驚いているという。生徒のSOSに気付くために学校は全校生徒にアンケート。不安はないか、相談したいことはないか、生徒の揺らぐ気持ちを探る。校長は「不登校の予備軍というか本当に辛さを抱えながら日々1滴1滴たまっている子たちが今も教室にいる。生徒が学校に足を踏み入れてくれなければ寄り添うこと自体できない」と話した。SBSルームで自信を取り戻し再び教室に戻る選択をした生徒もいる。中学2年の時に友達との人間関係に悩み教室に入ることができなくなった。逃れるように駆け込んだのがSBSルーム。生徒は「学校に行くのはきついけどSBSルームの時間があるから来られる」と話した。そんな生徒に担任は日記で言葉をかけ支え続けた。さらに担任は教室へ配布物を届ける仕事を任せた。半年後、教室に戻ってきた生徒。少しずつ色々な友達とも話ができるように。小学生の頃からの友達は辛かった時に支えとなれなかったことを後悔していた。友達は頼ってくれるように話しかけたりしているという。生徒は「SBSルームでの時間も大切だけど教室にいる時間も大切だから乗り越えられている」と話した。取材した中学校はこの3年間で11人の生徒がSBSルームに通って卒業したという。板橋区では22の区立中学校全てで教室に居づらい生徒たちが安心して過ごすための部屋を用意しているとのこと。