アメリカのトランプ政権は、貿易赤字が大きい国や地域を対象にした相互関税を、日本時間の午後1時過ぎに発動する。各国との交渉の行方が焦点となるなか、中国に対しては追加関税を合わせて104%に引き上げる方針で、米中対立の激化に懸念が強まっている。日本には24%の関税が課される。レビット報道官は相互関税含む措置の見直しを求めて70カ国近くが接触したことを明らかにした。同盟国や友好国を優先して交渉を行う方針を明らかにした。このうち、日本との協議をめぐっては、USTRグリア代表が議会上院の委員会で農産物のさらなる市場開放などを取り上げたいという意向を示した。また、グリア代表とともに日本との閣僚級の担当を務めるベッセント財務長官は8日、今後の日本側との協議の見通しについて、楽観的にみていると述べた。対立が深まる中国について、トランプ大統領は8日の演説で、追加関税を104%に引き上げる方針を示した。相互関税の発動を前に、きょうの東京株式市場はほぼ全面安の展開になった。アメリカと中国の貿易摩擦が一段と激しくなることへの懸念が強まり、日経平均株価は取引が始まった30分ほどで1300円を超える値下がりとなった。市場関係者は「相互関税が発動されるのを前に、投資家の間で世界経済への悪影響が改めて意識されている」などとしている。林官房長官は「相互関税措置をはじめ、米国政府による広範な貿易制限措置は日米両国の経済関係や世界経済、多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼすものと考えている」などと話した。