令和のコメ騒動をめぐり、JAに対し批判的な声も上がる中、コメの生産者はどんな思いを抱いているのか。番組は4人の農家の本音を聞いた。千葉・大多喜町でコメなどを生産しているマセゾン・エ・ルーヴァンの磯野孫栄さんはJAの必要性について「JAは必要」と話した。小規模農家はJAから種や資材を仕入れる必要もあり、収獲してからも玄米にする機械などJAは「なくてはならない」存在だという。秋田・能代市で「あきたこまち」を生産するオータニファームの大谷直人さんは同じくJAの重要性を訴えるが、「農協に頼っているだけじゃダメだなと、自分でもちょっと頑張ってみようかな」と話した。去年、コメの半分をJAに出荷したが、残りをネット販売や地元で直販した。その利益は少しずつ出ていて、今年は割合をJA4割、直販6割に変更するという。千葉・柏市で10人の従業員とコメ作りを行う大規模農家の柏染谷農場の染谷茂さんは「地元の農協は地元の人たちとの付き合いもある。自分としても地元の農協は大事にしていきたい」と話し、地元に根付いたJAが果たす役割も大きいと指摘した。染谷さんは収獲したコメの3割をJAに出荷し、残りは市内の学校給食などにも販売している。一方、30年前からJA以外にコメを販売している山形県の黒澤ファームの黒澤信彦さんは独自に販路を拡大し、今ではホテルや東京の百貨店など多くの顧客を持っている。販路が確立できていればJAを頼る必要はないというが、黒澤さんのようなケースは少ない。黒澤さんは「お米を集荷するだけの機能ではなく、生活に密着したインフラも農協に関わっている」と話し、JAの存在価値は地方になればなるほど強くなるという。