この10年では回転寿司の新勢力も拡大していた。銚子丸もその一つで、首都圏を中心に88店舗を展開。大手とは違い寿司そのものの魅力がある。生け簀に泳ぐ魚をその場で調理して鮮度バツグンに提供しお値打ち価格。圧倒的なネタの力で拡大するのがグルメ回転寿司。今拡大中の回転寿司はがってん寿司。埼玉発祥の店で国内で91店舗に拡大。ここの自慢は恒例のおすすめタイム。高級魚のノドグロの登場に客は色めき立つ。白身のトロと言われるノドグロは、高級店では数千円する。しかしこの日は数千円のネタをおすすめ品として2貫400円で提供している。店内ではそのノドグロの争奪戦が行われ、大盤振る舞いのうらにはがってん寿司の地道な努力があった。朝の大市場に通うのはがってん寿司のバイヤー。やってきた時間は、すでに取引のピークを過ぎた閑散とした状態。その時間帯こそが彼らの勝負時。しまいかけた業者の元にやってきたがそこにはノドグロが。売れ残っている高級魚を狙っていた。交渉の結果競り値より2割ほど安く購入が可能に。地道な活動で絶品のネタを驚くような価格で提供している。
そしてさらなる新勢力には千代田区の複合ビルKITTEにはとんでもない行列を作る店がある。それは回転寿司 根室花まる。ここは未体験の味ばかりが並ぶ店でたらばがに外子などのメニューが。職人が握り始めたのは観たことのないここだけのネタ。カニのお腹の肉を使った珍味など根室産の魚を多く取り揃える。根室周辺はオホーツク海に流れ込む暖流と太平洋からの親潮が混じり合う特殊な海域。根室花まるではそこでとれた新鮮な盛んをふんだんに使用し、他の回転寿司にはない魅力を作り出している。2013年に東京に初進出し、回転寿司立ち食い寿司は20店舗以上で根室の魚の美味しさを伝えている。そんな地方からの回転寿司は横浜の郊外にも。一日に700人以上が来店する店は石川県金沢市で創業した金沢まいもん寿司。一番安い皿でも165円で、高いもので1540円に。それでも客は美味しい魚が食べたいと押し寄せる。ここまで客を魅了するのは北陸から仕入れる驚きの味わい。カニ漁とともに買付たのは1000杯のカニ。香箱カニを余すことなく味わう事ができるがそれには手間暇がかかっている。
すかいらーくの創業者の横川竟は今の子供は回っていない寿司を寿司と思わないと答え、カウンター式のものは割烹居酒屋のようになったという。回らない寿司はこれからはありえないと答えた。またさび抜きなのは子供のためであり、生産性もあがらないので自らつけるようになっという。また回転寿司は明朗会計であり、いくつ食べたか計算できて懐にあわせて食べることができるのが良いと答え、その便利さから少し違った価格に移り始めたという。またこれからが外食経営者がどういう思想をもっているかが大事で、価格と商品の質のバランスが重要だと答えた。
大手回転寿司で常識破りの戦略に出ているのがくら寿司。鹿児島にある店を訪ねると客を唸らせる白身魚は脂がたっぷりのっているがこれはおながと呼ばれる鹿児島の地魚。さらにくろむつなどがあるがこれらは地域でとれた旬の魚を地域の店で提供する。週末の鹿児島港で水揚げあされた地魚をくら寿司のバイヤーが買い付けていた。いままで量が少なければ諦めていためずらしい魚を買いつけていく。地魚自地食を全国で開始した。横川はコロナ禍を経て外食企業はきちんと商売を大事にしたところは業績がよくなっていて適当に時代にあったふりをしながら売っていたところがダメになったという。今の安く売る回転寿司は8合目にまで来ていると答え、もう国内に出店できるところがなくなってしまったと答えた。横川は76歳で開業した高倉町珈琲は現在39店舗を展開している。毎週開かれる食品会議を開くとイベリコ豚のプレートに客目線にこだわる横川の厳しい指摘が入った。美味しいものをお値打ち価格で出したいというが今外食業界を襲うのは厳しい原材料の高騰で、仕入れ値の高騰を以下に商品価格に転嫁するか。去年マクドナルドは8割の商品の値上げに踏み切った。長年100円を守り抜いてきたコーヒーも120円に値上げされた。また安さが生命線のサイゼリヤは、値上げで客離れが起きないかギリギリの攻防が続いている。そんな中横川が絶賛するのは大幅値上げに成功した企業。