- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
原宿のビルに入居するくら寿司 原宿店は、白木造りで統一された客席はのれんつきのボックスシートで半個室スタイル。しかもこの店オリジナルのクレープはタッチパネルで注文すると自動で生地を製造し、あっという間に完成するくら寿司ならではの新感覚メニーー。この店は回転寿司文化を世界に広めるグローバル旗艦で、国内5店舗の他に台湾にも出店している。回転寿司の市場規模は7000億円市場になり熾烈さを増すのは大手三社。中でもトップのスシローが力をいれるのは最新技術を用いた最新の効率化。提供スピードを早めるために寿司が自動的に最短ルートで流れるシステムから注文した席に商品が振り分けられる引き込みレーンまであるという。寿司作りのロボット化も行ってきた。それに対し大手に挑む新たな新勢力も増えてきた。
この10年では回転寿司の新勢力も拡大していた。銚子丸もその一つで、首都圏を中心に88店舗を展開。大手とは違い寿司そのものの魅力がある。生け簀に泳ぐ魚をその場で調理して鮮度バツグンに提供しお値打ち価格。圧倒的なネタの力で拡大するのがグルメ回転寿司。今拡大中の回転寿司はがってん寿司。埼玉発祥の店で国内で91店舗に拡大。ここの自慢は恒例のおすすめタイム。高級魚のノドグロの登場に客は色めき立つ。白身のトロと言われるノドグロは、高級店では数千円する。しかしこの日は数千円のネタをおすすめ品として2貫400円で提供している。店内ではそのノドグロの争奪戦が行われ、大盤振る舞いのうらにはがってん寿司の地道な努力があった。朝の大市場に通うのはがってん寿司のバイヤー。やってきた時間は、すでに取引のピークを過ぎた閑散とした状態。その時間帯こそが彼らの勝負時。しまいかけた業者の元にやってきたがそこにはノドグロが。売れ残っている高級魚を狙っていた。交渉の結果競り値より2割ほど安く購入が可能に。地道な活動で絶品のネタを驚くような価格で提供している。
そしてさらなる新勢力には千代田区の複合ビルKITTEにはとんでもない行列を作る店がある。それは回転寿司 根室花まる。ここは未体験の味ばかりが並ぶ店でたらばがに外子などのメニューが。職人が握り始めたのは観たことのないここだけのネタ。カニのお腹の肉を使った珍味など根室産の魚を多く取り揃える。根室周辺はオホーツク海に流れ込む暖流と太平洋からの親潮が混じり合う特殊な海域。根室花まるではそこでとれた新鮮な盛んをふんだんに使用し、他の回転寿司にはない魅力を作り出している。2013年に東京に初進出し、回転寿司立ち食い寿司は20店舗以上で根室の魚の美味しさを伝えている。そんな地方からの回転寿司は横浜の郊外にも。一日に700人以上が来店する店は石川県金沢市で創業した金沢まいもん寿司。一番安い皿でも165円で、高いもので1540円に。それでも客は美味しい魚が食べたいと押し寄せる。ここまで客を魅了するのは北陸から仕入れる驚きの味わい。カニ漁とともに買付たのは1000杯のカニ。香箱カニを余すことなく味わう事ができるがそれには手間暇がかかっている。
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- KITTE丸の内すかいらーくたらばがに外子たらばふんどし千代田区（東京）回転寿司 根室花まる回転寿司 根室花まる KITTE丸の内店根室（北海道）歯舞漁港石川県金沢まいもん寿司 本店金沢港青葉区（神奈川）
すかいらーくの創業者の横川竟は今の子供は回っていない寿司を寿司と思わないと答え、カウンター式のものは割烹居酒屋のようになったという。回らない寿司はこれからはありえないと答えた。またさび抜きなのは子供のためであり、生産性もあがらないので自らつけるようになっという。また回転寿司は明朗会計であり、いくつ食べたか計算できて懐にあわせて食べることができるのが良いと答え、その便利さから少し違った価格に移り始めたという。またこれからが外食経営者がどういう思想をもっているかが大事で、価格と商品の質のバランスが重要だと答えた。
大手回転寿司で常識破りの戦略に出ているのがくら寿司。鹿児島にある店を訪ねると客を唸らせる白身魚は脂がたっぷりのっているがこれはおながと呼ばれる鹿児島の地魚。さらにくろむつなどがあるがこれらは地域でとれた旬の魚を地域の店で提供する。週末の鹿児島港で水揚げあされた地魚をくら寿司のバイヤーが買い付けていた。いままで量が少なければ諦めていためずらしい魚を買いつけていく。地魚自地食を全国で開始した。横川はコロナ禍を経て外食企業はきちんと商売を大事にしたところは業績がよくなっていて適当に時代にあったふりをしながら売っていたところがダメになったという。今の安く売る回転寿司は8合目にまで来ていると答え、もう国内に出店できるところがなくなってしまったと答えた。横川は76歳で開業した高倉町珈琲は現在39店舗を展開している。毎週開かれる食品会議を開くとイベリコ豚のプレートに客目線にこだわる横川の厳しい指摘が入った。美味しいものをお値打ち価格で出したいというが今外食業界を襲うのは厳しい原材料の高騰で、仕入れ値の高騰を以下に商品価格に転嫁するか。去年マクドナルドは8割の商品の値上げに踏み切った。長年100円を守り抜いてきたコーヒーも120円に値上げされた。また安さが生命線のサイゼリヤは、値上げで客離れが起きないかギリギリの攻防が続いている。そんな中横川が絶賛するのは大幅値上げに成功した企業。
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横川は外食店の調査を行ってきたが今回やってきたのは長年マークし続けていた鳥貴族。全国に630店舗を展開し焼鳥がメインの居酒屋チェーン店。大きなサイズが自慢のもも貴族焼は柔らかい国産鶏に特製の甘ダレが絡む名物。横川はネギの品質を絶賛しはじめた。コロナ禍を経て100％を超える店は少ないが鳥貴族はそれを越えていて商品力があると答えた。鳥貴族はコロナ禍が開けると賑わっていて競合他社が羨むほどの好調ぶり。業界を驚かせているのは均一料金の360円。鳥貴族はかつて税抜きで280円均一が売りだった。その激安価格から大幅に値上げをしたが客離れは起きていないという。成功した理由に横川は品質を落とすよりも値段をあげることでお客に了解を求めたがお客はそれを了承し価値の信頼関係が構築されていると述べた。実際に開店前の店の中では手作業でその日使用する串打ちの作業を行っていた。多くの居酒屋チェーンが外注に頼っているがこの串打ちに5時間をついやす。丁寧な手焼きにもこだわり、冷凍の輸入肉ではなく、新鮮な国産鶏肉を最高の焼き加減で届ける。そんな独自のこだわりを貫き、ユニークな居酒屋を作り上げたのは大倉忠司。値上げに踏み切った思いには海外出展のためにアジアやアメリカを頻繁に視察する中で日本は売価も賃金も低く、諸外国と価格や賃金をあわせていかなければ日本の将来が暗いと感じたという。価格を認めてもらえるブランドにしていくことが大切だと答えた。
横川は値上げについては同じ商品を値上げすればお客はなんで？と思うが値段をあげても売れる用品の開発力があるかどうかが大事だと答えた。もう一つは値上げテクニックがあり、値上げしたことは黙っていて、下げた時にだけ下げたと言う会社もあるという。お客がそれで納得していけるかどうかが大事だと答えたが一番良いのは商品を良くして値上げをすることで、今までになかった商品を売り出し新価格によって新しい価格を定着させるかどうかだと答えた。また日本の賃金が安いということについては30年間値上げしなかったことをどうするか、いよいよ努力しないと材料が手に入らなくなると答えたどうやってお客に負担のないようにモノを売っていくかがこれからは問われてくるという。
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- 鳥貴族
ユニークな新サービスで人気をよんでいるのは東京を中心に22店舗を展開する猿田彦珈琲。こだわりのコーヒーで客を掴んできたが夜7時になると異変が。ムーディーな照明が転倒しウイスキーやウォッカなどを提供するバーに変身する。客足の落ち込む夜の時間に仕掛けた今までにないコーヒーバー。ユニークな発想で猿田彦珈琲を率いるのが大塚朝之。世界のコーヒー農園を訪問し買付を行っている。そんな大塚にはライバルと見定める存在がスタバだがそうなっていくのは面白くないので存在価値を示したいという。競争が激しさを増す中でいかにお客の心をつかむか、大塚が整備したのはコーヒーを淹れる練習ができるトレーニングルーム。猿田彦はラテアートの日本大会でトップ3を独占し成果が出始めている。一方で外食の若手経営者は物語コーポレーションの加藤央之。展開しているのは全国に318店舗展開している焼肉きんぐ。業界では後発だったがテーブルからタッチパネルで注文する新たな業態で急拡大。焼肉チェーン売上高シェアが1位に。加藤は2020年には社長に就任し店舗を周って徹底した改善活動を行っていた。道路の案内看板の会議でも加藤は細かい指摘を行い、会社一丸となってお客を掴む策を考えている。
猿田彦珈琲の大塚代表のような若い人のユニークな発想について横川は暇な時間にお客に使ってもらうことで資本回転率という点では良いが、でもそれは便利さのためか経営上の効率のためなのかお客のことをどこまで考えるのかバランスを間違えないことがこれからの経営でものすごく大事になってくると答えた。また物語コーポレーションの焼肉きんぐには良い会社だと答え、商売らしいことをしているのが良いと答え、お客のニーズにあわせて対応しているが、良くないのは仕組みを作って多店化するだけのお店は面白くもなんともないという。
横川は高倉町珈琲のメニューのあまおうのリコッタパンケーキに悩んでいた。価格も強気な値段でこの値段が受け入れられるかどうか気になっているという。
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- あまおうのリコッタパンケーキ高倉町珈琲
村上は今日の総括に、昔の話だ。横川竟15歳、金はないが時間があった。実家で「おれは何をやるべきか」必ず消費してなくなるものがいい。それは食べもの。桜を7本植える。1本が今も残り「竟桜」と呼んでいる。築地の乾物問屋「伊勢龍」へ。門前払いでも引き下がらず。「商売は売嘘をつくな。いいものを売れ。余分に儲けるな」その後のビジネス人生の原点となる。「すかいらーく」1978年、株価がSONYを超えた。2013年、八王子高倉町に「高倉町珈琲」をオープン。外食にすべてを見てきた。トレンドは作るが、追わない。とした。
カンブリア宮殿の次回予告。