- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
都内にあるスーパーではもやしがよく売れている。食物繊維やタンパク質、ビタミンCが豊富でこのスーパーで最も安い野菜のもやしは一袋38円で購入できる。今野菜を含めた食料品は値上がりしているがそんな中価格の優等生と呼ばれるもやいは大人気で400袋が売れるという。しかしもやしの生産者団体からは悲鳴が。2022年11月には新聞の意見広告で訴えたのは安さばかり追及していては続けて行けない状況だという。この30年で原料の価格は3倍に高騰し、もやしメーカーの8割が廃業してしまった。しかし値上げをせず売上を伸ばしているのがサラダコスモ。岐阜県中津川市にはサラダコスモが運営するちこり村が。中にビュッフェスタイルのレストランがあり大人気。得に目立つのが女性客。厨房を預かるのは地域のお母さんたち。旬の野菜を駆使し一味違う家庭料理を作っていくが中でもバリエーション豊かなのはもやし料理。もやしを茹でた野菜のかき揚げなどランチビュッフェが楽しめる。
ちこり村には連日観光バスがやってきて大繁盛している。サラダコスモの社長の中田智洋はもやし業界の革命児。50年前にもやしは真っ白だったが、どこのメーカーも塩素系の漂白剤を使用し殺菌していた。しかし体に悪いと中田は1973年に無漂白、無添加のもやしを開発。また値上げをしないといことで再びもやし業界を揺るがす。値上げをせずに43年連続黒字に。その秘策には巨大工場で効率化。3年前には選びぬいた場所に工場をオープン。中には値上げもせずと利益をうむ工夫が詰まっている。そもそももやしは緑豆、大豆などを原料にした発芽野菜。作り方は日の当たらない暗い場所に水を与えるだけで1週間から10日で育つ。この新工場も、基本的な製造方法は従来と変わらないが随所に人を減らす工夫を行った。もやしのパック詰めは機械で自動化しここまでは他の工場とも変わらず箱詰めも自動化にしている。独自に機械を開発し導入した。
効率化によって人件費は50%削減。屋上にのぼれば太陽光パネルがずらり。もやし作りは電気代がかさむがこれで25%を削減。さらにもやしの製造には手間がある。それは豆の殻と根っこがついているが、これで工場ではスライサーのようなものに流し取り除いている。このもやしカスが毎日20トンもでていたがその処理には一か月1000万円かかっていたが設備投資を行いゴミからお金を生むように。もやしカスがは運ばれたのは愛知県の酪農家。牧草やとうもろこしなどと混ぜられ乳牛のえさに。輸入の大豆カスを餌に混ぜていたが値上がりして困っていた。そんな時に出会ったのがサラダコスモのもやしカスだった。これで牛乳の品質は依然と変わらず、一か月のエサ代を70万円削減できた。サラダコスモは設備投資に1億円を投じたが、一か月1000万円かかっていた処理費用は900万円削減でき投資分は1年で元が取れるように。またサラダコスモは収益の新たな柱となる商品を生み出していた。それはスーパーなどにずらりと並ぶカット野菜。カット野菜をやろうと言い出したのは宇都宮工場長の牧島。もやしだけでは未来はないと小売店との付き合いでそう感じカット野菜を作り始めた。また他のメーカーと差別化するためにできるだけ国産野菜にこだわって作っている。すると日経POSセレクション2019年から22年には野菜ミックス部門国内トップに。
こうした取り組みで売上73億円だった売上は203億円に。逆風の業界で成長を続けている。中田は最先端の巨大工場の設備投資について110億円の投資をしたというがその頃は売上が150億円だったという。普通の経営感覚の人ならそんな投資はしないと答えた。中田はこのときの心境にはこの投資は成功するかせいぜい引きわけで負けはないと感じていたので怖くはなかったという。またカット野菜については売上の4割で年間80億円売れる商品になっているという。かつてはもやしだけでいいと思っていたが世の中が変わってしまったと答え、女性もかつては結婚すれば退職をしていたが今ではすぐに復職している姿をみるとご飯を作る暇がないと思ってみていたという。そんな中でカット野菜の需要が高まっていると感じたと答えた。
- キーワード
- サラダコスモ
数々の難局を乗り越えてきた中田。そんな中で断念したものも。ヨーロッパ原産のちこりを国産化を目指してきていたがタロイモを暗がりの中で発芽させる栽培方法はもやしと一緒で、自分たちならできると赤字続きだったが16年間生産してきた。しかし新型コロナで飲食店からのニーズも激減し八方ふさがりで撤退を決めた。そんな失敗を乗り越えようと社員一丸となってあるものを作り乗り出した。
ちこり村には新名物が誕生したがそれは栗きんとんがこれでもかと入った中田発案の生食パン。ここで言う栗きんとんは中津川名産の和菓子のことで、買えば1つ300円ほどだが7個も一斤の中に入って1800円は高いけど安いと評判に。ネット販売もあるが焼き立てを求めて客が殺到している。その品質が客に認められ多い日には1400本が売れる大ヒット商品に。ここでもちゃんと利益を生みだす仕組みを構築し、その工房でパンを焼いていたのは経理部長や新工場の開発担当者などがいた。社員が協力することで余分なお金を使わずに利益を確保している。社内でなんとかしてしまう現場はここにもあり、大型プリンターを60万円で購入し印刷。それを街道沿いに貼り付け、宣伝看板も自分たちで作る。看板のコストは以前の10分の1に。更にアイディアでヒットを掴んだ新商品にはペヤングやきそばとコラボしたもやし炒め。麺無しでソース込みでヘルシーに食べることができる。当初は15万食限定だったが、小売店のバイヤーにうけて今年の夏いっぱいの継続販売が決定した。
中田は栗きんとん生食パンの誕生秘話についてコロナ禍になり一年以上暇になり、お客も来なくなってしまったが、その頃から栗きんとんの生食パンの開発を行い、毎日毎日試作をしていたという。中田はさらに社員がペヤングのコラボ商品については自分が知らない間に売り出されていたという。しかし以前もそのようにいつの間にかカット野菜を社員が販売していたと答えた。中田はこうした社員が自ら率先して挑戦する姿をうれしいと答えた。
中田は有機栽培にこだわり緑豆の多くを海外から輸入してきた。しかしその値段はあがる一方となっている。強い思いを形にちようと10年前から動いてきた。その舞台は南米のパラグアイ。自社農場で緑豆の栽培をはじめた。しかしこのあと水害などに見舞われパラグアイでの緑豆栽培は断念した。
中田は緑豆の栽培をアルゼンチンで再開。山手線内側ほどの1.2倍の農地を30億円で購入した。目指すは有機栽培。すでに一部が収穫できるまでになっているという。年末には成果を日本に持ち帰り、社員にお披露目した。コストは10分の1。中田はずっと赤字だったというこの取り組みについてはお金や時間にすればとんでもないものを使っているができるはずで工夫と運が悪いだけだと答えた。またできたものは素晴らしい出来上がりで従来の赤字を全部埋めるには程遠いが今年1年に限れば勘定が合うという。また野菜をユニクロにしたいと答えた中田だが、ユニクロが繁栄したことで繊維業界や染色や意図のメーカーを衰退してしまったという。しかしユニクロのトップと出会い、考えがかわり衰退してしまったのはユニクロほどここまで努力をしていないと思ったと答え、サラダコスモもそのようになりたいと答えた。
中田は社員の作るペヤング激辛MAX もやし炒めに売れるか懐疑的だったが、試食すると味には美味しくて辛いと答えOKがでた。発売は3月6日だという。
村上は今日の総括に会社は成長している。2014年に売上高は73億円、この10年で203億円、3倍近い。その極意とは「コストを削り、売れる商品を作る」というものだ。カット野菜だが、中田さんは当初、野菜を刻むだけのビジネスに気乗りはしなかった。しかし生産現場からの突き上げで参入。カット野菜業界では後発、だが有機大豆もやし、オーガニック・スプラウト類など高付加価値の野菜で躍進。中田さんには南米の夢がある。2018年、アルゼンチンで山手線内に匹敵する広大な土地を入手。再び、有機で原料を作ることに挑む。とした。
- キーワード
- 中田智洋
カンブリア宮殿の番組宣伝。