- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
静岡県・熱海にあるホテルが大人気になっていた。海にせり出したテラスでは釣りが楽しめる。道具はレンタルでき、SUP体験やカヤックなどのマリンスポーツも提供している。様々なアクティビティが客を呼び込んでいる。このホテルはかつて一世風靡したニューアカオ。昭和48年に創業し熱海のシンボル的な宿としてその名として知られたが社員旅行などの団体客が減少し経営が悪化。新型コロナが追い打ちになり三年前には営業を終了した。しかし去年2月には仕掛け人の姿が。ビュッフェスタイルのレストランをチェックし試食を行うなどしていたがその人物はマイステイズ・ホテル・マネジメントの会長の山本俊祐。去年7月にはニューアカオが営業を始まった。オンリーワン戦略という他にはないウリを作る。実際そんなやり方で多くのホテルの再生が進んでいる。千葉県にある白浜オーシャンリゾートはかつては南房総を代表するリゾートホテルとして営業していたが2016年には経営不振により売却された。この宿を引き継いだ山本がオンリーワンとして打ち出したのは、海の幸を贅沢に楽しめる海鮮浜焼きバイキング。赤えびや、ホタテを好きなだけ楽しめるようにした。これでリピーターが増えて宿は賑わいを取り戻した。
栃木県の那須高原ではユニークなオンリーワンを打ち出した。ホテルエピナール那須というホテルは地域最大級のホテルで、2016年にオーナー企業が売却し、山本たちが取得した。そこで敷地内にあった森を切り開いて作ったのがどうぶつ広場。人懐っこい動物たちがたくさんいる。また塩原温泉 八汐荘は昔ながらの温泉旅館。25年間続いてきたが3年前に廃業した。そこの再生に使ったオンリーワン戦略はほったらかしの宿がコンセプト。なにもおもてなしをしないことが一番の魅力。かつては一泊二食付きのよくあるスタイルだったが、接客や料理をなくして素泊まり一泊4500円まで料金を下げた。以前は来なかった客を呼び込んだという。元々ある施設をいかしながらアイディアを駆使。極力コストを掛けずに再生してきた。山本が会長を務めるマイステイズの本社は東京・六本木にある。従業員はホテルのスタッフをあわせ7000人あまりで売上高は1200億円にのぼる。親会社はアメリカの投資会社のフォートレス・インベストメント。マイステイズはフォートレスが取得したホテルを再生し運営している。手掛ける施設はここ数年で3倍になり、ホテル運営数ランキングでは5位に。その再生術には自前のリノベーションチームがいる。マイステイズには一級建築士を中心としたイノベーションチームが。会議室を客室に変更するなどもでき、低コストでスピーディな改修が可能。その計画の現場は今年4月に茨城県つくば市でリニューアルオープンを目指す筑波山の麓で71年続いていたが2023年に経営不振で売却された。その改修をイノベーションチームの西澤が託された。ホテルには元々露天風呂があり、西澤はインフィニティバスという縁のない浴槽を作ろうと考えているという。
つくばグランドホテルの視察のあとに山本たちは居酒屋へ。この地域の名物料理を片っ端から頼んだ。ゆずみそはゆずに味噌を詰めて数ヶ月乾燥させたもの。またキノコ鍋など山本たちは客の喜ぶ隠れた名物を探し出す。
茨城県の居酒屋で地元で食べられる納豆カツに山本は美味しいと答えた。後日にはビュッフェメニューの試食会が開催した。地元で見つけた様々な料理野中にはキノコ鍋や納豆カツも。納豆メンチカツにできるという。改良は必要だがこの二品は4月にグランドオープンで登場する。さらに山本が今力を入れているのが全国にブランド展開している亀の井ホテル。元々は日本郵政が加入保険加入者のために作ったかんぽの宿だったが、赤字続きのために32施設を売却。そのうち29施設をマイステイズが手掛けることに。熊本県阿蘇市にある亀の井ホテル 阿蘇の再生で山本が始めたのは中庭でのプロジェクションマッピング。表現しているのは阿蘇の四季で夜の中庭に出てもらい大自然の中にいることを感じてもらおうという狙いで新たな客を呼び込んだ。また亀の井ホテル 柳川の場合ロビーをでてすぐの場所に船着き場を設置。柳川観光名物のどんこ舟による観光をホテルのサービスに取り込んだ。この目玉作戦で平均稼働率はかんぽ時代から20%アップした。
山本はニューアカオを再生しようと思った理由にはとてつもないものを作ったと感じ、ホテルは断崖絶壁にへばりついていて海の上に立っているというがチャンスが巡ってきたので元々の良さを残しながらあと50年は愛されると感じたという。まらお客が来ないから辞めた宿の再生は難しくないか?との意見には宿の立地は変更できず、観光地や都市にも再生の可能性があるのかどうかや遊びに来る人を分析し改装工事や運営の改善でどこまで成長できるかを計算しているという。また実際に現地をみてみないとわからないという。宿のウリをお客にわかりやすいように仕組みを作ることが宿屋の宿命と感じていると答えた。また宿に泊った経験は食の記憶が残るので印象に残る食を残したいと感じ、その土地の名物を出したいというのがこだわりだと答えた。
山本は本棚には旅の本がぎっしり詰まっていたが1996年には早稲田大学法学部に入学し、夏休みや冬休みになると、海外に出かけてゆく先々で出会った個性的なホテルに心を奪われたという。大学を卒業後にはJPモルガンなどの外資系証券会社に働いたがいつか自分のホテルを作ってみたいという夢は持ち続けた。そんな山本をヘッドハンティングしたのは投資会社のフォートレス・インベストメント。ホテル事業を開始するにあたり、山本に白羽の矢をたてた。転職した山本が担当したのはウィークリーマンション東京の買収。その前進はツカサのウィークリーマンション。80年代に二週間単位で部屋を借りることができるという新しいビジネスモデルで話題になった会社。フォートレスはウィークリーマンションをホテルに改装していき、ホテル運営の会社も立ち上げた。それがマイステイズ・ホテル・マネジメント。7年前にその会長に抜擢された山本はウィークリーマンションに続き、各地の経営不振に陥ったビジネスホテルの再生に取り掛かった。
ビジネスホテルの再生に取り掛かったマイステイズ。その1つが千葉市にあるホテルマイステイズ蘇我。元はどこにでもあるようなビジネスホテルだったが何か売りをとケーキ店を作った。専属のパティシエを雇ってオリジナルのケーキや焼き菓子をつくり上げた。この周辺にはケーキを食べられる店があまりなく、そこで毎月新作のケーキを出すと近隣からスイーツ目当ての客がキてくれるようになった。ケーキが話題になってホテルの宿泊客も増えたという。山本のオンリーワン戦略はビジネスホテルから始まった。その1つが札幌にも。ホテルマイステイズプレミア札幌パークは市内の中心地にあるがロビーの奥には森の様な空間が。ここは人気アウトドアのスノーピークとコラボしたグランピングレストラン。街中でもグランピングを味わってもらおうという手法でこれがウケている。
山本は学生の頃には高級ホテルではなくオンリーワンのホテル中心に巡っていたという。学んだのはその場所にあったホテルをつくらなくてはいけないということでホテルのブランドを押し付けるのではなく、その場所にふさわしい客層を想像し、誰がなんのためにそこに泊まるのかを意識しながらホテルを作ると良いという。山本は学生時代から落ち着いていた?という質問に中学生の頃のあだ名が課長で高校で部長になり大学生では取締役と呼ばれていたという。、またマイステイズでは展開するホテルのタイプがあるという。宿泊特化型や中長期滞在型などがある。ウィークリーマンションをビジネスホテルに変更していたというが山本はいい場所にホテルが建っていたのでホテルという名前で改装して売り出せば爆発的にヒットするのではと感じたという。またインバウンドのブームの初期にぶつかり再生モデルができたという。また観光客が地方に流れることも予想しており、ビジネスホテルでの改装の経験やサービスのやり方がリゾートの再生に非常に役立っているという。
去年10月には山本肝いりのイベントのマイステイズのグループのシェフたちが腕を競う料理コンクールが開催した。全国から223人がエントリーし予選を経て8人のシェフが決勝戦に進んだ。テーマは社会課題を組み込んだフードロス軽減に向けたメニュー。魚のヒレや内蔵など、普段は捨ててしまう部位を使用した創作料理が出揃った。審査にあたるのはホテルの常連客や山本を含めた役員たち。味だけでなく見た目やアイディアも吟味。普段接点のない料理人たち交流させるのも狙いの一つ。競い合い切磋琢磨する場を作ることでやる気を引き出そうとしている。さらに独自の人材育成の場を作った山本。去年開設した成田・ホスピタリティ・アカデミーには外国人たちが集まっていた。日本のホテルサービスを学びたいとやってきた外国人技能実習生で、これまで製造業などにかたよっていた外国人技能実習生をホテル業界に呼び込もうと始めた。1ヶ月間日本語やホテルサービスを学習し各地のホテルに配属されるという。マイステイズが運営する熱川オーシャンリゾートでは5人の技能実習生が夢を追いかけている。
山本はシェフのコンクールを始めたきっかけに調理員は自分の宿で毎日おなじ料理を作っていることが多く、年に一回料理コンクールをして面白い料理を作って全国から集まった同僚とシェアして情報を共有し腕を磨いてほしいと答えた。また調理人にも全国転勤してほしいと答えそういうキャリアもあっていいと感じているという。また外国技能実習生向けのホテルの学校については日本では今までにない取り組みで何を目的にしているかには外国人独自のサービス精神や語学力などそういったものを日本のスタッフに教えてほしいと答えた。また大学時代に描いていた理想のホテルは作れているか?にはオンリーワンで当時外国人の若者が記憶が残るような旅の思い出ホテルは何軒かできたと感じているという。
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村上は今日の総括に山本さんが学生時代、欧州の小さな宿によく止まった。庭先に鶏が放し飼いにしてあり、翌日その数が減っていたらしい。料理となったのだが、そのホスピタリティは強い印象に残った。かんぽの宿を加えると、マイステイズの運営受託件数は149物件に。全国のさまざまな立地、施設形態、部屋タイプの受給状況を見られる。つまり今どのようなホテルがどの価格で売られているかという情報が膨大にある。だが、その情報の根底にあるのは「放し飼いの鶏」だ。マイステイズホテルのホスピタリティのいちばん庭に「鶏」がいる。とした。
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カンブリア宮殿の次回予告。