2000年代中頃からフン・セン政権は中国に接近し、多額の援助をもとに経済成長を目指してきたが、経済格差など社会の歪みも生んでいた。2013年の総選挙では、野党・救国党が55議席を獲得し、与党・人民党の68議席に迫る躍進をみせた。すると2018年の前回選挙の際に、救国党の党首を国家反逆罪で逮捕して解党に追い込み、結果人民党は全125議席を独占した。今回の総選挙でも、去年6月の地方議会選挙で躍進したキャンドルライト党が、書類不備を理由に参加が認められなかったなど同様の事態が起きている。これに対しアメリカ国務省のミラー報道官は、「選挙は自由でも公正でもなかった」などと批判した。さらに政府は選挙法を改正して投票のボイコットや無効票を投じることを促す行為に罰則を設け、国民の締め付けを厳しくした。その結果投票率が84%と跳ね上がり、フン・セン氏は国民の信を得たとして政権の委譲を発表したという。フン・セン氏は加えてフン・マネット氏を中心とした次世代閣僚名簿を作成し、与党幹部や現政権の閣僚の子どもなどを入れていることから、政権の私物化との批判はますます避けられないとのこと。末延氏は近年東南アジアやアフリカの国は、中国やロシアなどの独裁の国を真似する傾向があるといい、日本がこれまでやってきたことが水の泡になってしまっていると指摘。吉永氏は民主的な選挙は形だけで実際は独裁だとしてきし、2人は日本が民主化へ向けた支援に取り組むべきなどと主張した。