互いに隷属せず対等な立場での交流を呼びかけた民主進歩党の頼清徳氏。「中国の台湾併合の企みは消えることはない」として台湾が中国の一部とする“一つの中国”の原則を否定する態勢に対し、中国政府は「台湾独立は死に至る一本道だと強調しておく。いかなる名目であれ台湾独立の試みは必ず失敗する。」とした。一方就任式で語ったのは台湾を支える半導体などのサプライチェーンについてだった。前政権の経済政策を引き継ぎ世界のサプライチェーンにおける重要な地位を維持し、地政学的な変化がもたらすビジネスチャンスを捉えるとした。頼氏は「tsmc」に代表される半導体・AI・軍事産業・セキュリティー制御システム・次世代通信を「五大信頼産業」として育成する方針を掲げた。これらは安全保障とも関わりが深いほか、民主主義陣営に属する欧米や日本を中心にサプライチェーンの再編が進んでいて、脱中国依存を進める台湾の存立と成長につなげる狙いだ。副総統に前駐米代表でアメリカ側とのパイプが太い蕭美琴氏をすえた新政権。対米関係のさらなる強化が見込まれるなか、台湾経済界からは最大の貿易相手・中国との緊張緩和を希望する声も上がっている。