被災地の今を見つめるシリーズ「つなぐ、つながる」。発災直後、地震の規模を示すマグニチュードが低く発表され地震速報の在り方が課題となった東日本大震災。この課題に東北大学の研究者がGPSを活用し取り組んでいる。東北大学・太田雄策教授らが開発したのがGPSを活用した「REGARD」と呼ばれるシステム。通常、気象庁発表のマグニチュードは地震計を使って計算されている。短時間で発表できる反面、地震があまりにも大きいとずれが生じるという。実際マグニチュード9だった14年前の東日本大震災では発災直後の発表が7.9と過小評価され津波の予想高も低く発表される事態を招いた。これに対し、太田教授らの「REGARD」は、海底でプレートが跳ね上がった際、海側に引き寄せられる陸地の動きを各地のGPSで観測地震の規模を把握する新しいシステム。REGARDは去年8月の日向灘を震源とする地震で、その規模を6.91と計算正確な地震の規模マグニチュード7とほぼ一致させた。実は太田教授2011年の震災前からREGARDに関する研究をしていたが、論文を発表できたのは2012年2月。震災に間に合わなかったことに今も複雑な思いを抱いている。14年前の教訓を次の巨大地震で生かすためさらに研究を進める考え。