きのう、氷見野副総裁は講演で来週の金融政策を決める会合で「利上げを行うかどうか議論して判断する」と述べた。その日銀は昨年末に急ピッチな利上げをした場合の財務への影響を試算した。日銀は民間の金融機関などから受け入れた預金の一部に政策金利と同じだけの利息を払っていて、利上げをすればその分利息の支払いが増える。日銀は追加の利上げを検討する方針だが、この先収益や財務にどのような影響が出るのかを試算したところ0.25%程度としている今の政策金利を数年で2%に引き上げるような急ピッチな利上げをした場合は2028年度に最大で2兆円規模の赤字になるとしている。ハイペースで利上げをすると赤字が膨らむことになる。それだけ多くの利息を日銀が支払う必要があるからなのだが、ただ日銀は赤字は一時的で保有する国債が満期を迎えて利回りの高いものに入れ代わると収入も増えることになるので収益は改善して2030年度ごろには黒字になると見込んでいる。ただ、この試算では自己資本は今のおよそ14兆円から1兆円規模に減少すると見ている。日銀は一時的に赤字や債務超過になっても政策運営に支障はないとしている。ただ、中央銀行の財務が悪化すれば政策そのものへの信認が損なわれるリスクがある。日銀にとっては財務の健全性も課題となる。