宮沢賢治は生前、「春と修羅」、「注文の多い料理店」を出版するも、売れ行きは芳しくなかった。そんな宮沢は読者に向け、「わけの分からないところもあるでしょうが、私にもわけが分からないのです」と記している。作風のように浮世離れした人生を送ったかと思う人もいるだろうが、最愛の妹は24歳で死去した。宮沢賢治の最高傑作とされる「銀河鉄道の夜」の終盤、最愛の人との永遠の別れが描かれている。同作には難解でよく分からない部分も多いが、死とは何か、死んだあとに魂はどこに行くのかなど普遍的な何かを感じさせるという。ソコロワ山下聖美教授は「過去か未来かも分からない、国境、大気圏を超え、善悪、こうあるべきことを超越した、はるかなる彼方から不思議で怪しくもある透明な日本語を投げかけてくるのが宮沢賢治の文学」などと語り、年末年始の時間を利用して宮沢賢治の作品に触れてみることを勧めた。