再審やり直しの裁判で無罪判決が確定した袴田巌さん。最高検察庁と静岡県警察本部が、当時の捜査などを検証し、結果を公表した。再審の無罪判決で、非人道的だと指摘された取り調べ。袴田さんは、58年前の一家4人殺害事件で、44年もの間、死刑囚の立場に置かれた。当時、警察官の取り調べは、自白する前日まで、毎日平均12時間行われたという。袴田さんは逮捕から19日後、疲れで意識が朦朧とする中、自白したとされている。静岡県警察本部はきょう、当時の捜査について行った事実確認の結果を公表し、こうした取り調べについて、「供述の任意性が否定されるような方法だった。不適正だったと言わざるをえない」とした。さらに警察が袴田さんと弁護士との接見を録音していたと判決で認定されたことについては、「重大な違法であり、重く受け止め、深く反省しなければならない」としている。最高検察庁も、きょう公表した検証結果で、取り調べについて、「検察官が袴田さんを犯人であると決めつけたかのような発言をしながら自白を求めるなど、供述に真摯に耳を傾けたものとは言えなかった」としている。また最高検察庁は、再審請求の手続きで検察が証拠の開示に応じず、審理が長期化したことについても検証した。最高検察庁は検証結果で、「1990年に、弁護側から開示の求めがあった段階で探していれば、早期に発見して提出できたかもしれず、審理が進んだ可能性はある。証拠の保管や把握が不十分だった」とした。一方で判決で捜査機関が証拠をねつ造したと指摘されたことに対しては「現実的にありえない。検察側に問題があったとは認められない」と強く否定している。今後について、最高検察庁は、再審手続きにあたっては、裁判所の審理が迅速かつ適切に行われるよう真摯に対応していくとしている。