公益通報した人が職場で不当な扱いを受けて、報復されるケースが後を絶たない。消費者庁の検討会は法改正に向けた報告書の案をまとめた。まず、報復や不正の隠蔽を目的に、通報した人を解雇や懲戒処分にした場合、事業者側に刑事罰を科すことが盛り込まれた。また、処分を不服として通報者と裁判になった場合、通報と処分の間に関係はないと立証する責任を事業者側に負わせるとしている。これまで立証責任は通報者側にあったが、それが転換された形。一方、部署を異動させる配置転換や嫌がらせなどは、客観的に判断することの難しさなどから、刑事罰の対象に含まれなかった。報告書案には、このほか、通報者を捜す行為などの禁止を法律に規定することなども盛り込まれた。消費者庁は、来年の通常国会での法改正に向けて、準備を進めることにしている。拝師徳彦弁護士は「形どおりの運用しかされないと、なかなか保護が進まない可能性がある。きちんとした形で機能するようにやっていくことが重要」と話す。