群馬県と栃木県の街道沿いの焼きそば店を取材。群馬・前橋市、萩原朔太郎生誕の地にある「あくざわ亭」。昼時は地元客を中心に賑わう。「やきそば(並)」の具材は群馬県産の豚肉とキャベツ。薄焼き卵が入っているのがちょっと珍しい。最大の特徴は硬い太麺で、カリッとした部分とモチッとした部分がある。針金のように硬い麺に企業秘密の調理を施して、コシのあるモチモチ麺を作り上げ、それを炒めることでカリッとした歯ごたえも加わっている。ソースは2種類のウスターソースを独自にブレンドしたもの。店主思い出の焼きそばをもとに作られている。地元のオリオン通り商店街近くにあった「阿久沢焼きそば」には、高校生の頃から週2回は通っていた。平成10年に閉店してしまった。当時、店主は前橋市役所の職員だったが、阿久沢の焼きそばをもう一度食べたいとの思いがあり、40代のときに阿久沢で使われていたのと同じ麺を探し出した。最初はその調理法が分からなかったが、試行錯誤を繰り返し、15年かけて納得できる味となった。退職後の2018年、この味をみんなに食べてほしいと店をオープンした。阿久沢の焼きそばを知る客も納得の再現度。しかし、現在のところ後継者はいないという。