岩手県・岩泉町の農家を取材した。春にはふもとの酪農家の牛たちが、標高1000メートル以上の山の頂上付近に運ばれて放牧される。ふもとの集落には牛が自由に歩ける平地やえさとなる草がなく、山頂に牛を運んでの放牧が100年以上前から続いているという。牛は低木の葉や新芽も食べ、薮の発生を防ぐ下草刈りの役目を果たしている。牛が草を食べ尽くした平地には、初夏になるとハクサンチドリやオオヤマフスマなどの高山植物が育つ。花々に昆虫が集まり、小鳥のモズやカケスがえさの虫を求めて飛び回る。
秋になると牛は山から下ろされ、ふもとの集落に戻る。山の斜面では草刈りが行われるが、草は枯らさずに干しておき牛たちの食料となる。干し草はススキの枝にくくりつけ、干し草となると丸めたまま斜面を転がしてふもとの集落まで運ばれる。
秋になると牛は山から下ろされ、ふもとの集落に戻る。山の斜面では草刈りが行われるが、草は枯らさずに干しておき牛たちの食料となる。干し草はススキの枝にくくりつけ、干し草となると丸めたまま斜面を転がしてふもとの集落まで運ばれる。