温泉博士の松田忠徳さんによると、日本を代表する温泉地「別府温泉」でも、問題が報告されたことがある。別府温泉では1960年代から、一部の源泉で温度の低下が確認されていた。大分県と別府市が共同で100年後のシミュレーションを行ったところ、温度が低いエリアが拡大するという予測結果になった。大分県はこの調査結果を受け、新たな掘削を認めない特別保護地域を、別府市内に2カ所追加した。別府市では市内全域の温泉を回り、温度や成分などを測定する市民参加型の一斉調査「せーので測ろう!別府市全域温泉一斉調査」も実施。「現状のモニタリングを行うと同時に、市民が限りある温泉資源の大切さを考えるきっかけにしたい」としている。北海道倶知安町では、2016年から2019年にかけて湯量の減少が確認された。現在は当該地域の温泉を保護するべく、掘削を制限するなどしている。松田さんは「地域住民や利用者の意識を変えることも、温泉を守るうえで大切」と語った。