和歌山には平安時代には作られていたといわれる伝統的な「墨」がある。その製法を復活させ墨の文化を広めようと取り組む職人に出会った。水墨画の展示会が行われている田辺市の図書館から「竜に乗った七福神」という作品を紹介。彩り豊かな水墨画50点ほどが並んでいる。和歌山には「紀州松煙墨」という墨が伝わっていて、平安時代、熊野詣に訪れた上皇に献上されたという記録も残るなど古くから質の高さが評価されてきた。この紀州松煙墨を原料から手掛ける日本でただ1人の職人が田辺市にいる。墨職人の堀池雅夫さんに工房の中を案内してもらい、釜の中を見せてもらった。かつて和歌山ではこの煤(すす)づくりが盛んに行われ、大きな地域産業の1つとなっていた。しかし時代の変化や厳しい労働環境などで、その文化は姿を消してしまった。1000年以上続いてきたといわれる伝統を途絶えさせたくないと、堀池さんは試行錯誤を重ねて蘇らせた。堀池さんは「(和歌山は)日本でもまれにみる(煤の)生産地で、多くの人が携わっていたということは知ってもらってもいいかな思う」とコメントした。堀池さんは5年前から墨絵の教室も始め、堀池さんのもとには今、海外からも墨づくりの体験に訪れる人の姿がみられるようになってきた。堀池さんの墨はことし2月に和歌山県が優れた県産品を厳選して推奨する「和歌山一番星アワード」にも選ばれた。田辺市立図書館の作品展は今月いっぱい開かれるという。
