マイナ保険証への移行が来月2日に迫る中、各地の自治体の中にはマイナ保険証に必要なマイナンバーカードの申請が急増しているところもある。一方、高齢者施設の現場では戸惑いの声が上がっている。東京・町田市では、市民センターや商業施設に臨時の会場を設けてマイナンバーカードの申請に対応している。先月は4313件とことし4月の3倍近くの申請があった。東京・葛飾区の特別養護老人ホームでは、71歳から104歳までの91人の高齢者が入所。入所者の多くが日常生活を1人で送ることが困難な要介護度4。病院には家族の代わりに職員が付き添うことが多いため、健康保険証は事務所内の鍵付きの棚ですべて預かっている。しかし施設では来月2日から移行するマイナ保険証は預からないという方針を決め、今月から入所者の家族に便りを発送している。その理由は取り扱いの責任が重すぎるというもの。マイナ保険証の場合は原則、暗証番号が必要になることや悪用されると税や年金など保険資格以外の重要な個人情報にアクセスされるおそれがあるため。管理の問題もある。国はマイナ保険証を施設で預かる場合は鍵付きのロッカーなどにすることや管理を行う職員の範囲を定めることなどの手順を示しているが緊急で受診が必要なこともあり、管理する職員を限定することは現実的ではないという。