放送事業の発展や放送文化の向上に功績のあった人たちに贈られる「NHK放送文化賞」の今年度の受賞者に10人が選ばれた。連続テレビ小説「ひまわり」など多くのテレビドラマの脚本を手がけるとともに、NHKの放送用語委員を務め、長年、放送の土台を支えてきた脚本家の井上由美子さん。歌舞伎界を代表する立役で大河ドラマ「太平記」などで印象深い演技が話題を呼んだ歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さん。音楽シングルチャートでたびたび1位を獲得し「プロジェクトX挑戦者たち」など数々のテレビ番組の主題歌を手がけたシンガーソングライターの中島みゆきさん。細胞生物学者として世界の第一線で活躍するかたわら、「歌会始の儀」の選者を20年余り務めるなど、歌人として日本の歌壇をけん引してきた京都大学名誉教授の永田和宏さん。長年、狂言界をけん引してきたほか、古典芸能番組にも出演し魅力を広めてきた狂言師の野村万作さん。失敗学、危険学の創始者として番組やニュースで事故を未然に防ぐ知識の普及に努めた東京大学名誉教授の畑村洋太郎さん。情報法の第一人者でBPOの理事長として表現の自由と放送倫理の両立に尽力してきた東京大学名誉教授の濱田純一さん。今のAI技術の中核となるパターン認識モデルを開発し、白黒の映像をカラーにする技術で従来の作業時間を大幅に短縮したほか、番組制作技術の高度化や効率化を実現してきた元大阪大学教授の福島邦彦さん。昭和史研究の第一人者として数々の番組に出演し、戦争の時代の記録と後世への継承に貢献してきたノンフィクション作家の保阪正康さん。西洋美術史の研究家で、数多くの美術展を企画し、文化振興と日本文化の海外発信に寄与した西洋美術振興財団理事長の馬渕明子さん。以上の10人が選ばれた。