きのうの全国女子駅伝で兵庫のコーチを務めた渋谷優美さん。30年前の阪神淡路大震災で教え子を亡くした。教師として経験を伝え続ける一方である心残りがあった。きのうの全国女子駅伝。兵庫チームのコーチ、渋谷優美さんは県内の中学校の体育教師。震災が起きたのは24歳のときだった。みずからは無事だったが、新任で務めた学校の地域が大きな被害を受けたことを知った。亡くなった教え子に別れを告げようと学校に設けられた安置所に向かったが、入ることができなかった。直接気持ちを伝えられなかった後悔。教え子のためにも生きている自分が震災の経験を伝え続けると決心した。ことしも兵庫のコーチを務めた渋谷さん。陸上に打ち込める日常にありがたさを感じてもらいたいとことばに込めた。先週、渋谷さんは30年ぶりに学校を訪れた。あの日、開けることができなかった扉。渋谷さんにとって震災の節目。きのうのレース、選手たちは30年を機に制作された特別なワッペンをつけて走った。忘れてはいけない記憶。未来へと受け継がれていく。奪われた命に寄り添って、今を大切に生きる、その日々に感謝をする。