3人の女性警察官を取材した。午前7時、福岡県警察本部に出勤してきたのは、延ちさとさん。殺人などの凶悪犯罪を主に扱う捜査第一課に所属している。延さんの担当は、死亡原因などを調べる検視係。延さんは今年3月に牛嶋恵理さんと大淵紘子さんとともに福岡県警の女性警察官では初めて検視官を補助する検視係に任命された。検死係は病院などで医師が死亡を確認した場合を除くほぼ全ての遺体と向き合い、死亡原因を特定して事件性の有無などを判断している。事件や事故の現場はもちろん住宅で人が病死した場合にも出動。警察署の霊安室で詳細な検視を行うこともある。去年1年間に福岡県内で見つかった死因のわからない遺体は、およそ6500体。福岡県警察本部の検視官室に勤務する35人でその9割近くを検視していて1日平均17体の遺体と向き合っている。発見者が「怖くて近づけない」と通報するような凄惨な現場に出動することもあり、心身ともに負担のかかる仕事だが強い使命感を持ってのぞんでいる。延さんは「死者や遺族の無念を晴らせるのは私たちだけだと思ってやれるところにやりがいを感じている」などと話した。遺族のケアを大切にしていると話す牛嶋さんは「女性の体を見知らぬ男性が確認するのは抵抗を持つ方もいるので、極力亡くなった方が女性であれば私がお体をみる」などと話した。彼女たちの活躍に上司も期待を寄せている。上司は「県警初の女性の検視の補助官ということで知識を深めて検視官として一人前になってほしい」などと話した。任命から5か月、細部まで目を凝らし、きょうも遺体と向き合う。牛嶋さんは「死者の最後を自信を持って遺族の方に代弁できるような検視官になりたい」などと語った。