ことし1月、東海第二原発で行われた訓練。想定は地震や噴火が起きる中、電源を喪失して原子炉が冷却できなくなる事故が発生したというものである。経験したことのない想定を事前に聞かされないまま対応する日本原子力発電の社員たち。この15年間刻み込まれてきたのは福島第一原発事故と東海第二原発で起きた被害の教訓である。2011年3月11日、運転中だった東海第二原発は激しい揺れに襲われ原子炉が自動停止した。その後津波で原子炉を冷却するために必要な海水ポンプが1台水没して壊れたが残る2台に影響はなく、大きな事故には至らなかった。震災前に日本原電は自主的に津波対策を講じていた。きっかけの1つが震災の4年前、茨城県が策定した「津波浸水想定」だった。日本原電が参考で計算してみるとこれまでを超える想定の津波となり3台の海水ポンプが水没するおそれが出てきた。“本当にそんな津波が来るのか”と懐疑的な声もある中社内で検討しポンプの周りの壁を高くするなどの対策を決定。震災時は3台のうち2台で工事が完了していて津波の被害を免れた。新たな知見をリストと捉え向き合った当時の日本原電だがその姿勢が近年、揺らぎかねない事態となっている。去年2月“原発の要”ともいえる中央制御室の制御盤から突然炎や煙が上がった。4年前から火災が11件起こる“異例の事態”に茨城県・東海村から2度の厳重注意を受けた。建設中の防潮堤の基礎部分で不備が見つかり再稼働に必要な工事の完了時期を延期する可能性が出ている。トップは運転経験の不足により現場に潜むリスクを想像する力が低下していたと考えられている。この原発で運転経験を持たない社員は約半数で相次ぐ火災で強化したのは運転時をイメージしながら現場を肌で知る取り組みである。この日は震災の翌年に入った社員がベテランと初めてタービン本体を見て回った。放射性物質を含む蒸気で動くタービンは再稼働すれば大きな音や振動を起こす。そのような環境でもリスクの予兆をいち早く察知できるよう実物での指導に充填を置いているという。未然にリスクを把握し対策につなげる姿勢を一人一人が身につけ継承し続けることが原子力を扱う事業者として強く求められている。
