仙台市の大学に通う、今野実永さん。原発事故が起きたときは小学校2年生だった。生まれ育ったのは福島県浪江町南津島地区。地区で暮らしていた約400人全員が避難。いまも大部分に避難指示がだされ、ほとんどの住民が帰還できないまま。賑やかだった自宅、今野さん一家も再びここで暮らすことはできていない。兄弟や近所の子供達と毎日遊び回っていた今野さん。見守ってくれていたのは地域の人達で、まるで大きな家族のように助け合いながら暮らしていたという。みんなが楽しみにしていたのが200年以上続いてきた田植え踊り。毎年旧正月に踊り手が家々を回り五穀豊穣や家内安全を祈りながら楽しい時間を過ごした。今野さんは田植え踊りを続けることで地域の人達の心の拠り所を守りたいと決意した。住民が離ればなれになり、存続が難しくなった田植え踊り。今野さんはこれまえ踊りを担ってきた地域の人たちに次の世代に継承するための手伝いをさせてほしいと頼んだ。大学生たちに声をかけると20人以上が集まった。南津島の歴史や文化をともに学んでいる。踊り手たちはそんな今野さんたちに田植え踊りを教えてくれるようになった。仙台で暮らすようになり周囲のほとんどが南津島のことを知らないと感じてきた今野さん。ふるさとから遠く離れた仙台で田植え踊りを披露する。片時もわすれないのはあの頃のあたたかい思い出。田植え踊りがある限り、南津島はなくならない。ふるさとの記憶を伝え続ける今野さんは「その場所にあったものが忘れられた瞬間が本島の消滅だと考えてい。次の世代につないでいきたい」など話している。
住所: 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22
URL: http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2014/2014-j.html
URL: http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2014/2014-j.html